インタラクティブ映画制作ワークフロー:制作単位カードで脚本から撮影へ進む
脚本完成だけでは撮影できません。共通素材、ルート差、道具状態、未決事項を制作単位カードで担当者に渡し、確認できる根拠で承認か差し戻しかを決めます。

はじめに
撮影へ進めるかは、受け手が同じ資料で撮る内容、共用範囲、分岐の違い、未解決点を把握できるかで判断します。完成脚本は入力で、渡すのは版、確認根拠、担当を持つ制作単位のパッケージです。因果や必要映像を変える未決問題が残れば該当単位を承認しません。
本稿のインタラクティブ映画制作ワークフローは脚本と撮影準備の接続を扱い、撮影順は決めません。『声の消えた録音室』は独自の架空教材で、実際のユーザー事例、検証済み成果、製品機能ではありません。カードと条件は設計例です。
1.個別に確認できる内容を単位にする
録音室で調査者の許寧が録音機を見つけ、再生か管理者への直接質問を選びます。再生すると咳を聞き、昨夜いたか問います。直接なら機器が動かされたことだけを知ります。管理者はどちらでも鍵を出しますが、許寧の知識は違います。
発見、選択、会話、鍵と一括すれば、撮影者は必要なカバー範囲を判断できず、俳優も録音後の疑いを別ルートへ持ち込みます。発見、再生、直接質問、聴取後の追問、鍵の五候補を作り、最後を本当に共用できるか確かめます。
制作単位は入口、出口、必須撮影内容を独立して示せる要求の集まりです。複数ショットを含み、場面・ルート・テイクとは違います。粗すぎると差が台詞に隠れ、細かすぎると身振りごとに承認し、動作全体を引き継げません。
脚本担当は確定版、該当ページ、選択条件、次区間への接続要求を渡します。台詞が第3稿、接続が第2稿なら版整理へ戻し、現場口頭で埋めません。
2.単位カードに要求と根拠を記す
俳優、場所、道具だけでは資源は分かっても準備の正しさは判断できません。以下を一単位一枚で使い、添付にも単位番号を付けます。
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 識別と出所 | 単位番号、改訂、脚本版、ページ |
| 適用条件 | 入るルート、人物の既知情報 |
| 入口と出口 | 人物位置、物の状態、後へ渡す情報 |
| 共用と差 | 再利用内容、別撮影、使用禁止条件 |
| 必須収録 | 動作、会話、反応、必要音のカバー一覧 |
| 準備根拠 | 絵コンテ、道具参考、音計画、添付所在 |
| 未決事項 | 問題、影響範囲、担当、期限 |
| 受領判断 | 承認か差し戻し、根拠、確認者、日付 |
許寧が自分で再生を押すと分かることなど、物語の必要を記します。アップか連続中景かは監督と撮影者が決め、漏れを調べても構図を代決しません。
脚本が因果と情報、監督が表現、撮影・録音・道具担当が実行可能性を確認し、制作が阻害項目をまとめます。兼任しても確認項目を明記し、総署名で全根拠を代えません。
3.再生単位を埋めて共用境界を調べる
「録2、改訂1」は第3稿2ページ、再生選択かつ咳未聴取が条件です。入口は停止した機器とボタンの上に浮かせた右手、出口は再生終了、手を戻し咳を知った状態。聴取後の追問へ接続し直接質問へは進めません。
押下の識別、咳への接続可能な反応、最後の管理者への向き直りを必須にします。現場は演技用合図音、後で正式録音へ替えます。時機、内容、現場収録を先に決め、「音は後処理」だけで反応時機を推測させません。
添付は押下前後のボタンを示します。押した状態を保てない機器なら承認待ちです。保持できる道具か、押して戻る動作へ変えて絵コンテも更新します。どちらも出口を再確認し、似た見た目だけで替えません。
管理者が引き出しを開く手元は、ルート会話や許寧の差のある反応がなければ共用候補です。録音後の警戒アップは別に撮ります。共用を動作と構図制限で書き、結末全体を共通としません。
二人の長回しで緊張を保つなら全体を二版撮れます。差を隠せる表現かで共用・別撮影を選び、要求へ反映します。
4.撮影開始条件で未決を扱う
本例は三条件です。物語の閉合は入口前提と指定後段への出口。表現明確は必須情報の映像・音案。実行根拠は人員、道具状態、技術準備の担当確認と探せる添付です。
咳の主が未定なら追問と反応に影響し脚本・監督へ戻します。何句の後に咳かが未定なら監督・録音担当が解決します。現場で判断では承認できません。
コップ色が手がかりでなく、隣接素材の制約がなく、構図にも影響しないと確認すれば非阻害にし、担当と最終時刻を書けます。容疑者識別なら阻害です。大きさは影響で判断します。
場面全体は予定の全単位が合格して撮れます。発見だけなら限定承認し、未決を包外に置き、部分を全体合格と書きません。
5.準備根拠の受領後も変更を再確認する
単位索引、承認カード、脚本抜粋、表現案、状態参考と未承認一覧を渡します。有効改訂を索引に示し、どの番号からも添付を探せます。皆が脚本を読んだだけでは代替できません。
受領は素材の使用可能性ではありません。撮影後に演技、連続性、カバーを別確認します。今は重要な曖昧さがなく準備根拠がある証拠で、完成効果の先約ではありません。
直前に咳を消すなら録2と聴取後追問を止め、影響する会話、反応、音添付を列挙し改訂再確認します。発見が参照しなければ判断を残し、無関係まで再制作しません。
小規模分岐向けで、複雑動作、特殊条件、技術依存増加には専用資料が必要です。後の撮影スケジュールの編成に渡すのは範囲と版の一致した承認要求で、先に何を撮り、セットをまとめるかは撮影スケジュールの編成の仕事です。


