インタラクティブ映画の上映予備版:操作版・解説版・一本の記録映像
ネット接続が不確かなとき、予備素材は展示目的を保ち、失った操作性も明示する。切替カードで操作版、解説版、線形記録版を準備し、切替時点、再開位置、観客への説明を引き継ぐ。

三種類の版で示せることを分ける
ネット接続が不確かな会場では、操作版、解説版、線形記録版を用意し、用途、起動条件、切替入口を記す。予定のインタラクションが続けられなくても、選択と結果を説明し、観客が今参加できる範囲を明らかにするのが予備の役割だ。
操作版では観客が入力し、稼働中の作品が対応結果を示す。解説版は展示者が準備したカットを呼び出し、選択の差を説明する。線形記録版は固定順序で一本のルートを流し、観客は結果を変えられない。後二つは視聴素材だが、解説版は現場操作と説明に、記録版は事前に組んだ連続する物語に依存する。
目的から準備を逆算する。観客が自分で決めるなら操作できる条件を優先し、分岐設計を説明するなら解説版で結果を比べ、残り時間に物語全体を見せるなら記録版を選ぶ。互いの証明にはならない。録画完走は現場のインタラクションの成立を示さず、説明が明快でも初見の観客が画面を独力で理解できるとは限らない。
以下の『最終便の信号』と素材、担当者、切替過程は架空教材で、実際のユーザー事例、検証済み結果、DramaFork機能ではない。どの映画祭・展示会の規定でもない。
同じ選択をもとに三組の素材を作る
『最終便の信号』の主人公は駅の曖昧な放送を聞き、「助けを求める内容を転送する」か「先に時刻を確かめる」を選ぶ。前者は仲間を早く到着させるが、誤ったホーム情報を使い続ける。後者はホームを訂正するが最初の合流に間に合わない。その後はどちらもホームで探す場面に入り、仲間の位置が違う。
操作版は選択前の放送、実際の入力、分岐のフィードバック、以後の位置差を残す。オフラインを準備するなら、起動、メディア、フォント、必要状態がまだネットに依存するか確認する。動画をローカル環境に置くだけでは版全体をオフラインで使えるとは言えない。
解説版には共通冒頭、二つの結果、ルート説明ページを用意できる。冒頭を再生し、説明目的に合わせて一方を呼び出し、最後に他方と比べる。挙手させるなら、司会がそれに基づき素材を選んでいるのであり、入力が作品のプログラムに入ったわけではないと説明する。
記録版は「先に時刻を確かめる」に固定し、選択画面全体、今回の選択、その後の結果を残す。冒頭に「事前収録の単一ルート」と示し、最後に他方の変化を説明する。互いに排他的な結果を一回の経験としてつなぐと、因果が分からなくなる。
三組には同じ版識別を使い、例えばすべて「展示稿B」として記録版のルートも明記する。物語を変えたら文言と結果の一致を個別に確認し、操作版だけ更新して予備録画が旧結果を説明する状態を避ける。
予備案を引き継げる切替カードにまとめる
カードは上映素材とともに実際の操作担当へ渡す。次の記入は整理方法の例で、条件と入口は自作に合わせて替える。
| 素材 | 用途と前提 | 失う能力 | 入口 |
|---|---|---|---|
| 操作版 | 観客が決め、機器が実行と入力受付に対応 | 今回公開した内容のみを対象 | 共通冒頭から起動 |
| 解説版 | 展示者が分岐を比較し、ローカル映像が再生でき解説者がいる | プログラムが選択を読み取る証拠にはならない | 選択前の映像か指定結果から |
| 線形記録版 | 一本のルートを連続視聴し、固定動画が再生可能 | 現場の選択がなく全経路も網羅しない | 冒頭か指定の再開点から |
表の下に作品版、ファイル名、総時間、再開位置、操作担当、切替を告げる人、本会で認める復旧時間を足す。復旧時間は本会の予定で決まり、業界標準とはしない。
カードには「放送終了」「確認後のホーム画面」の二つの内容上の目印も書き、録画の書き出し後にタイムコードを添える。目印は接続の妥当性を判断するため、タイムコードは位置を探すためだ。「途中から再生」だけでは引き継げない。
現場説明も一行用意する。「準備済みの視聴素材に切り替えます。先ほどの選択が正常に確定したかは未確認です。ここからは時刻確認ルートを見せます」。確定済みならそう言い、分かっている事実を不確かにしない。
故障位置に応じて切替を検討する
観客が「先に時刻を確かめる」を選んだ直後に画面が止まり、入力受付を確認できないとする。結果動画をすぐ流して「皆さんの選択の結果です」と言わない。期待どおりの画は稼働過程の確認にならない。
カードに沿って状態未確認を先に説明し、本会で何を保つか決める。選択の代償を説明するなら解説版で、選択画面から両項目を説明し直して確認結果を流す。残り時間が連続視聴にしか足りなければ記録版へ移り、元から固定ルートだったと説明する。
再開前に観客の既知情報も確認する。放送を聞き終えていなければ、すぐ「ホーム情報訂正」へ進むと根拠がなく、放送末尾を補う。結果をすでに見たなら次の目印から入り、省略したのは既視聴部分と口頭で伝える。
選択表示前の故障なら、観客が何を選んだかを予備素材で代わりに宣言しない。分岐フィードバック後なら同じルートを優先する。逆ルートの録画しかなければ別選択の例と明示し、分岐点を説明し直す。
予備が同じ故障を避けるか確認する
納品前に前提を確認項目へ変える。切断後にファイルを開けるか、対象機器で音が出るか、字幕を読めるか、再開点は正確か、別の担当者がカードだけで入口を探せるか。範囲と未確認事項を残す。開発機での再生成功は会場機器の確認に代わらない。
三組とも同じオンライン入口の中、または動画はローカル環境でも解説用ルート図だけクラウド、という失敗がある。ネット故障で予備も失われる。説明できる人がいない場合もある。作者の説明がなければ分からない解説版なら、短い提示原稿を用意するか情報がそろった記録版を選ぶ。
映像入力一系統だけの会場は視聴版を主にでき、インタラクション装置の展示では操作版を残し別の体験機会を設ける必要があるかもしれない。会場ごとに確認することで、募集条件を満たすかは推定できない。
最終引き継ぎには三組、カード、未確認事項を含める。ローカル環境再生や投影系統自体が使えなければ、視聴版も予備にならず、継続できないと正直に伝える。予備版の限界は、なお必要な機器、担当者、内容の条件にある。


