噂・観察・確認済み事実、テキストアドベンチャーでどう書き分ける?
先に結論:各情報を、そのままナレーションに書くのではなく、出所と確認度を持つ「手がかり品」として扱う。噂は「誰かが言う/〜だそうだ」を使い、話し手の身分と立場を明記する。観察は語り手がその場で知覚できる動作・音・位置を書く。確認済み事実は、検証可能な記録か複数の独立した裏付けが現れてから昇格させる。プレイヤーが検証できるかどうかは、出所と確認経路をテキストに残しているかで決まる。

はじめに
先に結論:各情報を、そのままナレーションに書くのではなく、出所と確認度を持つ「手がかり品」として扱う。噂は「誰かが言う/〜だそうだ」を使い、話し手の身分と立場を明記する。観察は語り手がその場で知覚できる動作・音・位置を書く。確認済み事実は、検証可能な記録か複数の独立した裏付けが現れてから昇格させる。プレイヤーが検証できるかどうかは、出所と確認経路をテキストに残しているかで決まる。
以下、架空の教学例「灯会失物事件」で通す。設定:河灯会で、屋台の主・老篾の銀灯墜がなくなり、徒弟の阿蕎が疑われている。以下の人物、対話、数字は説明のために作ったもので、実測資料ではない。
三種類の文型、それぞれの書き方
噂の文型:話し手+伝聞動詞+内容+立場または利益のヒント。
例:「飴細工売りの柳婆が、灯棚の後ろで阿蕎が老篾の箱に触ったのを見たと言っている。柳婆の屋台は灯棚の真正面にあるが、老篾とは屋台のことで喧嘩したことがある。」
伝聞動詞は「言う、主張する、固執する、不平を言う」を使い、「もともと、実は、事実は」は使わない。立場のヒントは話し手を貶めるためではなく、プレイヤーに判断権を与えるためだ。柳婆に誇張の動機があっても、嘘をついているとは限らない。同じ噂を別の人物が伝えても、出所を再表示する。たとえば老篾自身が「柳婆がこの目で見た」と言っても、これは依然として噂であり、出所は柳婆で、老篾は伝達者にすぎず、老篾が失主だからといって昇格はできない。
観察の文型:語り手がその場で知覚し、見える・聞こえる・匂うことだけを書く。
例:「箱の留め金に、青麻の糸が少し掛かっている。糸の端は新しい。阿蕎の袖口にも同じ青麻が擦れている。」
観察は意味を説明しない。「これは阿蕎が箱を開けたことを示す」と書いてはいけない——それは推論であり、プレイヤーか後続の証拠に委ねるべきだ。観察文には位置と前後関係を書いてよい:青麻の糸は留め金の外側に掛かっており、阿蕎は箱の三步外に立っている。位置と前後関係は事実であり、動機はそうではない。
確認済み事実の文型:記録、物証、複数の独立した裏付け、少なくとも一つ。
例:「プレイヤーが名簿を確認し、署名者に照会して、戌の刻三つに阿蕎が渡し場で灯を捞うのを手伝っていたことを確認する。」ここではこの一時点の場所だけを確認し、彼女のそれ以前のすべての行動を拡張して書かない。
名簿は渡し場の管事が署名しており、記録と署名者の復述は同源である可能性があり、そのまま二つの独立した証拠とは数えられない。「老篾が箱はその時まだ棚にあったと言う」も、依然として別に役割の主張として列挙すべきだ。阿蕎が箱に接触する機会があったかどうかを判断するには、灯棚と渡し場の位置、事件の時点と路程を照合する必要があり、一つの在場記録だけで全ての可能性を排除することはできない。
証拠昇格のルール
各手がかりに確認等級を付け、執筆時は等級に応じて文型を選ぶ:
| 等級 | 根拠 | 許される書き方 | 灯会事件の例 |
|---|---|---|---|
| 噂 | 単一の伝聞、物証なし | 誰かが言う、〜だそうだ | 柳婆が阿蕎が箱に触ったと言う |
| 観察 | 語り手が直接見聞き | 感覚的細部を直接書く | 留め金の青麻の糸 |
| 裏付け | 二つの独立した出所が一致 | 「二箇所とも符合する」と書ける | 名簿+渡し場の管事 |
| 確認済み | 現在の物語で対応する検証が完了 | 検証された狭い事実のみを直接陳述 | 名簿および署名者照会で得た在場時点 |
昇格は新しい出所によってのみ可能で、語り手が語調を変えることではできない。プレイヤーが再読するとき、各結論がどの二つの手がかりから合わさったのかを指摘できるべきだ。もし二つの出所が実は同源なら——たとえば柳婆と彼女の店員がどちらも見たと言う——それは依然として一つの噂であり、裏付けとは数えない。
プレイヤーに検証させ、盲信させない
プレイヤーに三つの動作を残す:出所を問いただす、時間を照合する、実物を見る。
対話例(阿蕎ルート):
阿蕎:「私は箱に触っていない。戌の刻は渡し場にいた。」 あなた:「誰が見た?」 阿蕎:「渡し場の管事。名簿に署名がある。」 あなた:「柳婆はお前が箱に触ったと言っている。」 阿蕎:「彼女は師匠と屋台のことで喧嘩した。彼女に飴細工の屋台がどこにあるか聞いてみて。」
この中で、阿蕎の弁解は役割の主張であり、新しい世界の事実ではない。プレイヤーが自分で名簿と渡し場を照合して、初めて裏付けに昇格できる。三つの動作は具体的な選択肢に落とし込む:出所を問いただすには「誰から聞いた?」、時間を照合するには「戌の刻三つにお前はどこにいた?」、実物を見るには「箱の留め金をめくる」。選択肢のテキスト自体が検証可能な対象を露出させるべきで、「調べてみる」とだけ書いてはいけない。
さらに反例を一つ補い、階層を混ぜて書いた結果を示す:
ナレーション:阿蕎は銀灯墜を盗み、戌の刻に灯棚に忍び込み、柳婆がはっきりと見ていた。
この一文は噂(柳婆の伝聞)を確認済み事実として書き、さらにプレイヤーに代わって「盗んだ」という結論を下している。次のように変える:
柳婆は、戌の刻に阿蕎が灯棚に入るのを見たと言っている。名簿には阿蕎が戌の刻三つに渡し場にいたと記されている。
二文を並べれば、プレイヤーは「棚に入った」と「渡し場にいた」がそれぞれどの時点を指すのかを問いただせる。それらは必ずしも矛盾しない:阿蕎は先に灯棚に行き、それから渡し場に行ったのかもしれない。もし謎解きが二つの場所に同時に到達できないことを要求するなら、作者はまず十分な時間と距離の手がかりを提供すべきで、ナレーションに不完全な証拠で結論を下させてはいけない。
完成チェック
ミステリーテキストを書き終えたら、一つずつ問う:
- 各情報に出所が表示されているか?
- 噂の文に話し手の身分と立場があるか?
- 観察の文に推論が混じっていないか?
- 確認済み事実に記録または二つの独立した出所があるか?
- プレイヤーは問いただし、照合、実物確認で検証できるか?
五問すべてを通過すれば、情報階層は分かれている。次のステップ:手元の、噂を真実として書いてしまったナレーションを一つ選び、上の表に従って等級を再表示し、プレイヤーが実行できる検証動作を一句補う。


