イベントカードの開始条件・終了結果・クールダウンはどう書く?
巡回市場のイベントカード5枚を使い、開始判定、結果の確定、再出現を分けて記述。ターンごとのシミュレーションで優先順位、初回報酬、店じまいによる失効を確認します。

まず三つを明確にする:いつ始まるか、どう終わるか、いつ再び現れるか
巡回市場の小さなイベントには、「開始条件をすべて満たして初めて候補になる」「1回の実行につき結果の確定は1回だけ」「終了後はターン単位でクールダウンする」というルールを使えます。そのうえで優先順位と失効処理を統一すれば、依頼の競合や意図しない再出現を防げます。
以下の「灯を追う市場」は架空の教材です。実際のユーザー事例でも、検証済みの成果でも、製品の機能でもありません。阿禾は市場とともに移動し、灯りを修理したり、秤を調べたり、預かり証を返したり、お茶を飲んだりしながら、店じまいも迎えます。ターン数と報酬は、すべてこの例のために定めた設計上の取り決めです。
この記事で扱うのは、独立したイベントを行程にどう差し込むかです。同時に実行可能ならどれを先に出すか、断られたら何ターン後に再び尋ねるか、市場が去った後も依頼は有効か。脚本をノードデータに変換する作業に、イベントの実行順序を管理する仕組みを加えるものです。
共通のカード書式を使い、クールダウンの数え方をそろえる
各カードには次の項目を記入します。条件は「はい/いいえ」で判定できるようにし、「雰囲気が合うとき」だけで済ませないようにします。
| 項目 | 記入する内容 |
|---|---|
| 識別番号と内容 | 一意の番号、何が起きるかを表す一文 |
| 開始条件 | 場所、時間帯、前提となる事実、未完了フラグ |
| 優先順位 | 同時に候補になった場合の順位 |
| 終了分岐と書き込み | 完了・拒否・失敗で何が変わるか、報酬をどう記録するか |
| クールダウンと再出現 | どの終了分岐から数え、いつ再判定するか |
| 失効条件 | いつ依頼を取り消し、どの状態を残すか |
この例は第1ターンから始まります。イベントの終了、エリア移動、明示的な待機は、それぞれ1ターンを消費します。文章を読むだけでは時間は進みません。各ターンの開始時には、まず失効を処理し、その後で開始条件とクールダウンを確認します。同じターンに開始できるカードは最大1枚です。イベントが始まらない場合は、移動または待機ができます。
クールダウン2とは、終了後に丸2ターンを空けることです。第1ターンで終了したら、第2・第3ターンは開始できず、第4ターンで再判定します。クールダウンの終了で戻るのは候補資格だけであり、出現が保証されるわけではありません。成功後に永久に閉じるカードは、以後クールダウンを計算しません。
5枚のイベントカード:すべての終了分岐を記録できる形にする
5枚すべてに「ほかのイベントが進行中でない」という条件があります。甲から丁には、さらに「現在が第8ターンより前」という条件を設けます。イベントは開始したターン内に終わり、次のターンまで保留しません。閉じたカードは候補から外し、失効処理でも確定済みの結果は上書きしません。
甲のカード|東口の傾いた灯り台
開始条件:東口にいて、灯り台がまだ修理されていない。内容:店主が阿禾に台座を押さえるよう頼む。完了:「灯り台は修理済み」と記録して閉じる。拒否:壊れたままにし、クールダウン2。失敗:工具が滑り、灯り台は壊れたままで、クールダウン1。失敗とは、手伝うことを選んだものの、やり遂げられなかった場合だけを指します。店じまいの時点で未修理なら「荷車で持ち帰って修理」と記録し、後から成功扱いにはしません。
乙のカード|西の天幕の秤皿をめぐる口論
開始条件:西の天幕にいて、口論が未解決で、双方がまだいる。完了:双方が量り直しに同意し、「口論は解決済み」と記録して閉じる。拒否または仲裁失敗:口論はそのままで、クールダウン2。どちらかが立ち去った場合、または未解決のまま店じまいを迎えた場合は、「仲裁できず」と記録して閉じます。後で似た口論が起きたら別のイベントにし、このカードの完了状態は引き継ぎません。
丙のカード|東口の預かり証
開始条件:東口にいて、預かり証を所持し、その持ち主がまだいて、未返却である。完了:預かり証を所持品から除き、「返却済み」と記録して閉じる。拒否:預かり証を保持し、クールダウン2。成否を判定する行動がないため、失敗の分岐は別に設けません。未返却のまま持ち主が立ち去るか店じまいになったら、預かり証を保持して「次の立ち寄り先で返却予定」と記録し、今回の市場では閉じます。次の立ち寄り先で続きを書く際は、この事実を参照します。
丁のカード|中庭の温かいお茶を一杯
開始条件:中庭にいて、茶店が営業中である。初回の完了:「今回の市場でお茶を飲んだ」と記録し、茶菓子を1人分渡して「今回の市場の茶菓子は受け取り済み」と記録し、クールダウン2。2回目以降の完了では短い世間話だけを表示し、上記の事実を保持して、茶菓子は増やさず、引き続きクールダウン2とします。このカードは、どの終了分岐でも関係値を変えません。拒否:お茶を飲んだ事実も受け取った事実も追加せず、茶菓子も渡さず、クールダウン1。茶店が閉まるか市場が店じまいをすると失効します。これは再出現を認める日常イベントのカードです。
戊のカード|店じまいの鐘
開始条件:第8ターンになり、まだ店じまいしていない。場所は問いません。終了分岐は「市場についていく」と「その場に残る」だけです。それぞれ行き先を記録した後、「今回の市場は終了」と記録します。このカードにクールダウンや再出現はありません。第8ターンの開始時に甲から丁を各カードの店じまい条項に従って閉じ、戊で立ち去り方の選択を確定します。どちらの分岐でも市場のパートは終わり、その場に残っても依頼は受け続けられません。
4ターンで確認する:拒否は完了ではない
共通の優先順位は、戊、甲、丙、乙、丁です。条件を満たす候補を絞り込んでから、先頭の1枚を選びます。選ばれなかったカードは待ち行列に入れず、次のターンに再計算します。順位は構成上の判断であり、本来の重要度を示すものではありません。
第1ターンで阿禾が東口にいて、灯り台は未修理、預かり証を所持し、持ち主もまだいるとします。甲と丙が同時に候補になり、甲が先に始まります。灯り台を押さえるのを断ったら、終了ターンを1、再出現可能な最も早いターンを4と記録します。「甲は完了」と書いてはいけません。
第2ターンも東口にいます。甲はクールダウン中なので、丙が始まります。返却後は預かり証を除き、丙を閉じます。第3ターンも甲はクールダウン中で、丙はすでに閉じています。乙と丁は場所が合わず、戊はまだ第8ターンでないため開始条件を満たしません。候補がないので、阿禾は待機を選びます。
第4ターンで灯りを修理し、甲を閉じます。以後、東口を通っても同じ灯りを修理することはありません。第8ターンになれば、丁のクールダウンがちょうど終わっていても、店じまいによって失効し、「第8ターンより前」という条件も満たさないため除外されます。戊が始まり、今回の市場を終えます。ここで戊と丁が優先順位を競っているわけではありません。順位による競合は、第1ターンの甲と丙で示しています。
シミュレーションでは「現在のターン」「候補カード」「選ばれたカード」「終了後の事実」の4列を記録します。会話だけを記録すると、拒否と完了の違いを見落とします。
よくある三つの順序の乱れと、それぞれを直すルール
カードが続けて再表示される。 第1ターンで終了した後、クールダウン2を「第2ターンに再出現できる」と誤って数えると、断った直後にまた尋ねられます。「再出現可能な最も早いターン」を直接記入すると確認しやすくなります。
期限切れの依頼が実行される。 丙が一度候補になっていても、別のイベントを実行した後には、預かり証の持ち主が立ち去っているかもしれません。この例では古い候補の待ち行列を保存しません。待ち行列を使う方式に変える場合も、実際に開始する直前に開始条件を再確認する必要があります。すでに立ち去った相手に預かり証は渡せません。
同じ終了分岐の結果が二重に反映される。 開始するたびに独立した実行記録を作り、終了分岐が確定したら処理済みの印を付けます。振り返りでは結果を読むだけにし、預かり証を再び除いたり、茶菓子を増やしたりしません。丁を新たに実行する際も、今回の市場の受取済みフラグを確認します。実行記録は同じ実行内の二重処理を防ぎ、受取済みフラグは別の実行にまたがる重複報酬を防ぎます。
もう一つの限界は、上位のカードが長期にわたって出番を独占することです。上位のカードが何度も候補に戻ると、下位のカードにはいつまでも順番が回らない可能性があります。必ず見せたい場面には専用の時間帯を設けるか、メインストーリーのノードに変えるべきです。抽選で選ばれる確率を上げるだけでは、到達を保証できません。
方式を変えるタイミングと、引き渡し前の確認方法
固定順位は、展開のテンポを管理したい市場に向いています。偶然の出会いを増やしたければ、条件を満たす候補から抽選できます。自由に店を巡ることが中心なら、プレイヤーが自分で依頼一覧を開き、クールダウンで再受注の時期を管理する方式も使えます。どちらも開始条件と失効ルールを残し、選択ルールは別途記述する必要があります。
引き渡し前には、「すべて断る」「できるだけ完了する」「未完了の依頼を抱えたまま第8ターンに入る」の3経路を手動でたどります。終了分岐の書き込み、カードの恒久的な終了、店じまい時の整理を確認します。さらに丁を2回完了させます。初回は茶菓子が1人分増え、受取済みフラグが残ること、2回目は茶菓子が増えず、どちらも関係値が変わらないことを確認します。確定済みのどの終了分岐を振り返っても、所持品が変わらないことも確認します。
このカード書式は、その場のエピソード内で一区切りつけられる小さなイベントに向いています。複数の立ち寄り先をまたぐ追跡、登場人物同士の長期的な競争、順番に明かす謎には、段階ごとの状態も必要です。まず5枚のカードについて、ルールの境界条件でどう動くかをシミュレーションしてから枚数を増やします。そうすることで、追加しているのが物語の内容なのか、まだ定義していないイベントの実行管理ルールなのかを区別できます。


