主人公を支える仲間にも離脱の条件を:譲れない一線を関係カードに書く
仲間が協力してくれるからといって、あらゆる代償を受け入れるわけではありません。関係カードで協力の範囲、警告、離脱、再加入の条件を明確にし、未実行の提案と実際に一線を越えた行動を分けることで、離脱を納得できる人物の決断として描けます。

何が起きたら同行をやめるのか、まず決める
仲間がいつ離脱するかは、事前に伝えた協力の限界と、その後に知った事実の両方によって決まるべきです。調査には協力するが家族は巻き込みたくない人物なら、進展の遅さや意見の衝突、悪気のない見落としさえ受け入れられるかもしれません。しかし主人公がその一線を知りながら、勝手に家族を参加させる手配をしていたと分かれば、離脱する根拠になります。離脱するために、家族が実際に被害を受けるまで待つ必要はありません。
以下では、許澄が旧友の林舟による劇団の帳簿調査を手伝う例を使います。許澄は記録の整理ができ、妹は劇団で衣装の仕事をしています。帳簿の問題を解明したいとは思っていますが、妹を調査の足がかりにすることは受け入れません。この記事の人物、出来事、分岐はすべて学習用に作った架空の例であり、実際のユーザー事例、検証済みの結果、製品の機能ではありません。関係カードは創作のためのもので、現実の調査についての助言ではありません。
中心となる葛藤は、調査が答えに近づくほど、妹の職場でのつながりが利用されやすくなることです。離れる理由は、具体的な行動に結び付ける必要があります。「尊重されていないと感じる」は感情ですが、「主人公が無断で妹を紹介者として記入し、申請を出した」なら、読者が確かめられる出来事になります。
関係カードで協力の範囲を取り決める
口論の場面を書く前に、カードを埋めます。各項目が一つの場面に対応し、まだ実行されていない提案と、すでに一線を越えた行動とを区別できるようにします。
| カードの項目 | 許澄の記入例 |
|---|---|
| 協力する理由 | 旧友が資金の流用を疑われた理由を知りたい。自分の時間を費やすことは受け入れる |
| 協力の範囲 | 入手済みの帳簿を照合し、話に応じてくれる元同僚を林舟が訪ねる際に同行する |
| 明確に除外すること | 妹に資料を取ってこさせない。妹の名前や立場を使って面会を手配しない。妹に代わって参加を承諾しない |
| 警告する条件 | 林舟が初めて妹の職場でのつながりを使って責任者に近づくことを提案する。ただし、予約も、妹の名前や立場の利用もまだしていない |
| 求める修正 | その提案を取り下げ、手元の帳簿で調査を続ける方針に変え、修正後の計画を許澄に見せる |
| 離脱する条件 | 明確に断られた後も、無断で妹を紹介者として面会を申請する、または妹の参加を手配する。あるいは、林舟が以前から同様の行為を隠していたと分かる |
| 離脱する範囲 | 帳簿の照合と同行をやめる。林舟は受け取った資料を保持できるが、許澄は残りの作業を引き受けない |
| 話し合いを再開する条件 | 妹に関わる申請や手配が確実に取り消され、以後の計画が妹に頼らない内容になり、改めて許澄の意向を確認する |
| 復帰後の上限 | 戻るとしても指定された資料一件の照合だけとし、当面は全行程への同行を再開しない |
別の作品で使う際は、人物の目的、除外事項、目に見える証拠を置き換えます。「家族を危険にさらさない」では広すぎます。「家族の名前や立場を使って面会を手配しない」なら、行動が一線を越えたか判断できます。誰が約束を知っているかも記し、プレイヤーは一線を聞いているのに、主人公は聞いていないという食い違いを避けましょう。
警告、発覚、離脱を三つの場面に分ける
最初の場面で、林舟は妹なら責任者に引き合わせてくれるかもしれないと言います。この時点では予約も時間枠の確保もしておらず、妹の名前も使っていません。許澄は「帳簿なら一緒に調べるよ。でも、妹は計画に入れないでくれ」と答えます。これはまだ提案にすぎず、離脱条件は満たしていません。許澄は警告したうえで、まず二つの記録の日付の食い違いを照合しようと提案し、協力を続ける方向を示します。
二つ目の場面では、プレイヤーが選びます。妹の紹介を頼る案を捨て、時間をかけて古い記録を整理するか。それとも無断で妹を紹介者の欄に記入し、責任者に面会を申請するか。前者なら協力関係は保てますが、その日のうちに責任者と接触する機会を逃すかもしれません。後者は早く面会の機会を得ようとする選択ですが、申請を出した時点で一線を越えています。面会が許可されたり、妹が実際に参加したりするまで待つ必要はありません。約束を守るルートにも調べられる手がかりを用意し、ただ待つだけにしないことが大切です。
三つ目の場面では、一線を越えた分岐の面会申請が承認されます。林舟が転送した確認内容に妹の名前を見つけた許澄は、「これ、君が書いたの?」と尋ねます。林舟が認めると、許澄は帳簿の照合をやめ、まだ整理していない一冊を机に置きます。「確認した分は持っていっていい。残りはもう引き受けない」。離脱するのは確かな情報を得た後であり、プレイヤーが選択肢をクリックした瞬間ではありません。
林舟が確認内容を隠した場合、許澄はまだ知らないため、この時点では同行を続けてもかまいません。作者は一線を越える行動がすでに起きたことを記録し、人物が筋の通った経路で事実を知ったときに、その結果を描きます。離脱を遅らせるなら、情報が伝わる道筋が必要です。人物が何の根拠もなくプレイヤーの選択を知ってはいけませんし、発覚しなかったことを、そもそも一線を越えていないことにしてもいけません。
離脱後、調査と関係はそれぞれどう続くか
離脱によって協力の条件が変わる必要があります。林舟は調査を続けられますが、必要なときに帳簿を照合してもらう助けを失います。自分で記録の読み方を覚えてもよいですし、一部の年度だけに詳しい元同僚に頼んでもよいでしょう。ただし、代役がすぐに許澄の役割をすべて果たしてしまうと、離脱は人物のアイコンを差し替えただけになります。
人間関係まで同時に白紙に戻す必要はありません。許澄は帳簿の照合を断りながらも、調査の結果を気にかけているかもしれません。後日のあいさつと協力の中止は両立します。完全に連絡を絶つ展開にしたいなら、理由を加えましょう。たとえば、許澄が離脱した後も林舟が人を介して妹に参加を勧め続けた、という理由です。「協力を断る」ことを、そのまま「相手を徹底的に憎む」ことと同一視してはいけません。
再加入では、元の手配が取り消されたか、許澄が再び仕事を引き受ける気があるか、という二つの問題を解決する必要があります。林舟は面会のキャンセルを確認できる連絡内容と修正後の計画を提示できますが、それは話し合いを始める条件にすぎません。許澄は資料一件の照合に応じてもよいですし、すべて終わってから連絡してくれと言ってもよいのです。謝罪は意思表示であり、手配の修正は行動です。そのどちらも、許澄に代わって復帰を決めることはできません。
協力の範囲を縮小する描き方もあります。許澄はほかの場面には登場し、妹が関わる調査の筋からだけ離れます。これは主人公がまだ約束を破っておらず、次の行動の範囲について折り合えない場合に向いています。明確な約束が故意に破られたのに、任務を一つ外すだけで済ませるなら、許澄がなぜ相手を信頼し続けるのか説明が必要です。
反例で、その一線が本当に機能しているか確かめる
よくある失敗は、離脱する段階になって初めて譲れない一線を明かすことです。最初の役割分担で約束を示し、プレイヤーがそれを基準に判断できるようにしましょう。もう一つは、警告の回数を固定する失敗です。最初の三回は一線を越えても謝れば済むのに、四回目で突然離れてしまう。回数で出来事の性質を置き換えることはできません。初めて口頭で提案した場合と、初めて無断で妹の名前や立場を使って面会を申請した場合を、自動的に同じ扱いにすべきではありません。
外部で起きた出来事も確認します。責任者が自ら妹に接触したなら、妹が巻き込まれたという事実だけで、林舟が約束を破ったと決めつけることはできません。許澄は状況が自分の許容量を超えたために離脱するかもしれませんが、その台詞は「今は調査まで手が回らない」と説明するものにします。主人公がしていないことを責める台詞にはしません。離脱は、引き受けられる余裕の変化によっても起こり、誰かへの罰とは限りません。
最後に、場面ごとに問い直します。一線はいつ明示されたか。提案はいつ実際の行動になったか。人物は何を根拠に一線を越えたと知ったか。協力が止まると何が失われるか。協力の再開には、あと何が必要か。答えが好感度の低下、一度の謝罪、再加入だけなら、関係カードに戻って行動を書き足しましょう。カードが定めるのは因果関係です。条件が改善しても、人物には戻らないことを選ぶ権利があります。


