テキストアドベンチャーの本文リンクで、補足説明と行動をどう区別するか
「注釈を読む」「対象を調べる」「行動する」を、クリック後の結果が伝わる別々の表現にする。本文内リンクの約束表で、結果、戻り方、世界の状態への影響を照合しよう。架空の温室の一節を使い、異なる働きのリンクが混在する文章の直し方を示す。

はじめに
本文中のクリックできる言葉は、補足説明を読むのか、対象を調べるのか、それともすぐに行動するのかを、クリック前に読者へ伝える必要がある。最も直接的な直し方は、リンクに適切な動詞を加え、クリック結果、戻り方、世界の状態への影響を一つずつ照合することだ。名詞は対象を指し示せるが、それを動かす、渡す、壊すといった操作まで伝えるには、たいてい不十分である。
以下では温室の一節を見直し、再利用できる「本文内リンクの約束表」を示す。これは独自に作成した架空の教材であり、実際のユーザー事例、測定結果、実操作によるテスト、DramaForkの製品機能ではない。各インタラクションはこの例のための設定であり、いずれのプラットフォームの標準動作を示すものでもない。
同じ見た目に隠れた、異なる結果を洗い出す
修正前の文章はこうだ。「温室には【銀脈草】が生えている。窓際の【古い植木鉢】が隙間をふさいでいる。あなたは手を伸ばして【鉢の縁】に触れた。」ここではリンクにする予定の文字を【】で示しており、実際のリンク先はない。
作者が設定した結果を、次のように仮定する。銀脈草をクリックすると植物の注釈が開く。古い植木鉢をクリックすると外見の詳細が表示される。鉢の縁をクリックすると、すぐに鉢を床へ移し、窓の隙間が見えるようになる。三つとも名詞なのに、最後の一つだけが行動を実行する。最初の二回で生まれた「言葉をクリックすると、少し詳しく読める」という期待が、三回目で裏切られる。
「手を伸ばして触れた」も、鉢を動かすことまでは十分に伝えていない。すでに起きた出来事の描写とも、手触りを調べるための導入とも読める。問題はリンクのルールを説明していないことではなく、入口で約束した動作と実際の動作が一致していないことにある。
見直す際は、色をそろえる前に、すべてのリンクを列挙する。それぞれについて「ここをクリックすると、直ちに……」という文を完成させよう。一文に「説明を表示する」と「アイテムを消費する」が両方含まれるなら、単なる説明用リンクとして扱うことはできない。
「読む・調べる・行動する」を三種類の表現で示す
この例では、補足説明には「……の注釈を読む」、対象の観察には「……を調べる」、世界に働きかける行動には具体的な動詞と対象を使う。三つのリンクは【銀脈草の注釈を読む】、【古い植木鉢を調べる】、【植木鉢を床に移す】となる。
補足説明は用語や設定を解説する。対象の観察は、その時点で観察できる対象の細部を示す。世界に働きかける行動は、物の位置、登場人物の状況、その他の物語上の条件を変える。分類の基準はクリックの結果であり、文字数や、内容が重要そうに聞こえるかどうかではない。
照合できる例にするため、この一節のルールを先に限定する。注釈を読むことと鉢を調べることでは、時間は進まず、イベントも発生せず、物も変化しない。鉢を移すと位置が変わり、窓の隙間が見えるようになる。「調べる」では「陶製の鉢の底に泥の跡がある」と表示するが、登場人物が自動的に鉢を持ち上げるわけではない。
このルールには、文章が少し長くなるという負担がある。「古い植木鉢を調べる」は「古い植木鉢」より操作を意識させるが、探索する意図を保てる。リンクが長すぎるなら、まず文を組み直して動作の表現を自然に埋め込もう。結果を決める動詞を削ってはいけない。
名詞だけのリンクが一律に使えないわけではない。その一節に用語の注釈しかなく、ルールが明確に共有されていれば、名詞のままでもよい。同じ一節に行動が混ざった時点で、誤解を招かないか改めて確認する必要がある。
一項目ずつ照合できるまで約束表を具体化する
この表には、リンクが何をすると伝えているかだけでなく、黙って実行してはいけないことも記録する。自分の文章に使うときは五列を維持し、クリックできる箇所ごとに一行を割り当てる。
| リンク文言 | リンクの種類 | クリック結果 | 戻り方 | 世界の状態への影響 |
|---|---|---|---|---|
| 銀脈草の注釈を読む | 補足説明 | 元の文の後に名称の説明を展開する | 「注釈を閉じる」をクリックし、元の文から読み続ける | なし |
| 古い植木鉢を調べる | 対象の観察 | 元の文の後に、鉢底の泥の跡などの外見を表示する | 「観察文を閉じる」をクリックし、元の文から読み続ける | なし |
| 植木鉢を床に移す | 世界に働きかける行動 | 鉢が床に移り、窓の隙間が表示される | 更新後の温室の一節にとどまる | 鉢の位置が変わる。窓の隙間が見えるようになる |
注釈の例は「銀脈草は、この架空の温室に生えている植物で、葉には淡い色の筋がある」。観察文は「古い植木鉢の表面はざらつき、底には乾いた泥の跡が残っている」とする。どちらも、この例に必要な内容だけを補っている。
移動後の反応は「あなたが植木鉢を床に置くと、窓枠の下に細い隙間が現れた」と書く。それに合わせて元の移動リンクを取り除き、本文中の鉢の位置も更新する。同じ行動が、まだ実行されていないものとして繰り返し提示されるのを防ぐためだ。
表の「戻る」は、必ずしも取り消しを意味しない。注釈を閉じても、閉じるのは文章だけだ。行動後も温室にいるからといって、鉢が窓際へ戻るわけではない。この例には戻すためのリンクを設けていない。後で元の位置に戻す必要が生じたら、別途【植木鉢を窓際に戻す】を用意し、何が変わるのかを個別に説明する。
混在したリンクを、結果の予測できる本文に直す
表に沿って直すと、例えば次のようになる。
温室には銀脈草が生えている。【銀脈草の注釈を読む】ことができる。窓際の古い植木鉢が隙間をふさいでいる。先に【古い植木鉢を調べる】ことも、そのまま【植木鉢を床に移す】ことで窓際を空けることもできる。
この文章は、鉢を動かす前に調べることを要求していない。観察をひそかに行動の前提条件にしてもいない。読者が「調べる」を選ぶのは、細部をもっと見たいからだ。「移す」を選んだときに初めて、登場人物が鉢の位置を変えることを認めたことになる。
注釈を開く際は、該当する文の後に内容を置き、閉じる操作だと明確にわかる文言のリンクを用意する。閉じた後は「温室には銀脈草が生えている」という文に戻れるようにする。説明だけを消し、読者を段落末尾へ移してはいけない。観察にも同じ戻り方を適用し、行動を伴わない二つのリンクに一貫性を持たせる。
隣接するリンクは、それぞれ単独で約束が完結していなければならない。「古い植木鉢を【調べる】か【移す】」と省略したうえで、二つのクリック範囲まで入り交じるようにしてはいけない。各リンクの文言に対象を残し、表示時には判別できる間隔を設ける。一文にリンクが密集するなら、文を分ける。
別に確認手順を設けるかどうかは、作品の設計による。この例では移動リンクをクリックすると動作が実行されるため、動作をそのまま書いている。クリックで確認段階に入るだけなら、【植木鉢の移動先を選ぶ】など、次の段階に合う文言に変更し、実際に実行される箇所を表に記録する。
一つずつ想定をたどり、約束違反と適用範囲を確かめる
原稿を渡す前に結果を隠し、各リンクの文言だけを見て、予想を書き出す。その後、約束表を開いて照合する。この例なら、注釈を読むと説明が、調べると外見の情報が、移すと位置の変化が得られるはずだ。ここで調べているのは原稿内部の整合性であり、読者の反応をすでに検証したという意味ではない。
次に戻り方を一つずつ確認する。閉じた後に元の文から読み続けられるか。調べた後も行動を選べるか。移動後に元の位置を示す描写が消えるか。特に注意したいのは、文言だけを「調べる」に変え、内部の処理は依然として鉢を動かしてしまう失敗だ。名前を変えるだけでは、結果を修正したことにならない。
もう一つの失敗は、調べることで知らないうちに時間が消費されることだ。別の章で「詳しく調べると巡回が進む」というルールがあるなら、【1ターン使って植木鉢を調べる】と書き、世界の状態を変える行動に分類して、コストも記載する。画面に文字しか出ないからといって、補足説明だと判断してはいけない。
読者が新しい知識を得ることは、必ずしも登場人物の状態変化と同じではない。ただし、注釈を開くことで会話が解放されたり物語上のイベントが発生したりするなら、その事実を表に記録し、リンクの文言を考え直す必要がある。この方法は、クリック結果を明確に記述できるハイパーテキストの一節に適している。窓の隙間の向こうに何があるのかという謎は残せるが、「クリックしたら鉢を動かすのか」まで謎にしてはいけない。






