インタラクティブ映画制作ワークフローの分岐ラフカット:全ルートを骨組みで確かめる
仕上げ前に選択先、分岐結果、合流での知識の混同を確認します。ルート骨組み表で接続の根拠と差し戻し条件を伝え、編集と仕上げが同じ接続を扱えるようにします。

はじめに
分岐ラフカットを仕上げへ渡す前に、操作できるルート骨組みを渡します。受け手が共通入口から選択し、対応する結果を見て、成立する合流へ着けるものです。ルート図は予定、選択でたどれるラフカットと経路別記録は現版の実際の接続を示します。この制作ワークフローでは編集と仕上げが同じ接続に責任を持ちます。
1. 引き継ぎ入口:ルートの約束と素材の根拠を集める
『雨夜の資料室』は架空のサスペンス短編教材です。実際の利用事例、検証済みの結果、製品機能ではなく、接続、問題、変更は説明例です。
沈遥は資料のすり替えを見つけ、「当直録音を聴く」か「貸出記録を見る」を選べます。録音では停電前に誰かが鉄製キャビネットを動かし、記録では行方不明資料を管理員が借りたとわかります。両ルートは階段へ戻り、上階の引きずる音を聞いて調査を続けます。
組み立て前に必要なのは、現行の選択文と行き先、使用可能な素材と版、出口で必要な事実の三種類です。録音側は借りた人の名を知らず、記録側はキャビネット移動を知りません。この境界がないと合流で別ルートの知識を先に漏らします。
分岐図だけが届いたら、各出口に残る状態を追加で尋ねます。位置、既知の手がかり、道具の所持が必要です。美術と音の全計画は待たなくてよいですが、編集が謎の答えを決めてはいけません。
2. ルート骨組み表:各行の入口と出口をたどれるようにする
共通、分岐固有、合流に別々の番号を与え、同一性を保ち、変更は版を別記します。次の表をコピーし、プロジェクト素材へ置き換えられます。
| 層と番号 | 開始条件 | 現在部分と終了状態 | 次の行き先 | 確認根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 共通A | 冒頭から入る | 冒頭第1版。すり替えだけ知る | 選択A | 両選択前の情報が同じ |
| 分岐B | 録音を選ぶ | 録音第2版。キャビネット移動を知る | 合流D | 該当手がかりを実際に聞く |
| 分岐C | 記録を選ぶ | 記録第1版。借りた人を知る | 合流D | 名前が読め、人物が見た |
| 合流D | BかCの終了 | 階段第1版。引きずる音を聞く | 上階入口 | 両知識状態で入れる |
先頭にパッケージ番号、入口位置、移動方法、素材位置を加え、各行に実到達、証拠位置、問題、修正担当、再確認状態を足します。予定と実到達は別欄にし、表の正解が接続ミスを隠さないようにします。
完全ルートは「A—録音選択—B—D—上階」「A—記録選択—C—D—上階」です。両方書き、「後で合流」だけにしません。共通版変更時に見直す全ルートも示せます。
3. 選択で次の部分へ進める版を組む
共通冒頭、二つの分岐をつなぎ、各出口から同じ階段へ入れます。仮音、未調色、粗い切点でもよいですが重要手がかりは判別可能でなければなりません。未完成の音楽は仕上げ項目、聞き取れない録音はルート確認の障害です。
ジャンプ付き簡易試作か、明示した素材目録から受け手が対応ファイルを開く方法を使えます。後者は手動の素材組織だけを示し、最終再生ソフトの接続は証明しません。方式と結論の範囲を明記します。
仮素材は代用対象と不足根拠を記します。「借りた人の名がここに出る」というカードは構造確認に使えても、撮影映像の伝達証明にはなりません。「接続確認可能、内容待ち」とし、全体合格にしません。
編集者のタイムライン操作ではなく受け手が入口から選びます。選択、実際の素材版、終了地点を毎回記録します。口頭説明でしか次を見つけられなければ、資料は不足しています。
4. 三層確認:共通の再利用、分岐の結果、矛盾しない合流
共通部分では同じ冒頭から入り、選択前に片側だけの手がかりを見せません。別ルートを入口からやり直す時も前の状態を持ち込みません。ファイルを共用しても視聴条件が自動で同じとは限りません。
分岐では選択意味、実部分、終了事実を確認します。記録を選んで録音へ行けば行き先ミス、正しい記録でも名が読めなければ結果根拠不足です。前者は接続設定へ、後者は素材と切点へ戻し、全て仕上げ任せにしません。
合流では元の階段台詞「管理員がキャビネットを運び去った」を考えます。二つを共通知識にしますが、どのルートにも全根拠はありません。両ボタンが到達できても物語はつながりません。
新音への反応「上にまだ誰かいる」へ直す案があります。演技と音が支え、後文が削った判断にまだ依存しないことが前提です。BからD、CからDを別々に見て上る理由を確かめ、次の部分が未取得手がかりを再引用しないか見ます。予定の確認で、合格済みではありません。
5. 差し戻しと通過:仕上げ前に構造問題を解消する
削れなければ階段入口を二つの短版に分け、各知識だけを受けて共通動作へ入れます。入口一組の維持が増えます。合流前に不足情報を足す案もありますが、選択の情報差が変わるため脚本・演出側の確認が必要で、共用のために黙って弱めません。
記録は「記録ルートC第1版→D第1版。未取得のキャビネット情報を台詞が引用。合流表現を脚本・演出へ差し戻し、D第2版提出後に両入口と上階最初を見直す」と書けます。「不自然」より次を決められ、一方だけ直して他方を壊すのを防げます。
仕上げへ骨組み、たどれるラフカット、全経路記録、未解決点を渡します。入口明確、行き先正確、分岐事実判別可能、合流前提成立の範囲だけ構造確認合格にします。テンポ、演技、映像完成度は別意見です。
本例の有限分岐短編向けで、ループ、隠れ条件、周回記憶には状態ごとの到達経路が必要です。二経路の範囲を流用しません。ラフカット通過は合意範囲で組織を追える証拠で、最終環境の確認には代わりません。


