バッドエンドは失敗画面ではない:死、後悔、巻き戻しを物語の報酬にする方法
因果、情報、人物、技能の4種類の報酬でバッドエンドを設計し、適切な巻き戻しで反復による罰を減らす。

はじめに
バッドエンドは、ただ画面を暗転させ、選択が間違っていたと知らせ、プレイヤーに20分間を見直させるだけであってはならない。良い失敗は情報、感情、能力を報酬として与え、世界への理解を深め、次の決断をより大切に思わせ、あるいは効率よく再挑戦できるようにする。
4種類の有効な報酬
因果型のエンディングは序盤の決断につながる。情報型のエンディングはメインルートでは見えない秘密を明かす。人物型のエンディングは関係や性格の変化を完結させる。技能型のエンディングはまだ習得できていないルールを示す。どのバッドエンドも、少なくとも1つを提供すべきだ。
公平な失敗には3段階が必要
選択前にリスクの兆候を示し、選択後に状態の変化を伝え、エンディングで重要な因果関係につなげる。驚きはプレイヤーの予想を超えてもよいが、土壇場でルールを作り出してはならない。
巻き戻す距離も設計の一部
局所的な操作ミスには、近くのノードに戻すのが適している。長期的な関係によって生じたエンディングでは重要な分岐に戻してもよいが、既読スキップ、ストーリーマップ、状態の案内を提供すべきだ。重みは失った人や機会から生まれるのであって、スキップできない反復シーンから生まれるのではない。
| エンディング | 事前の状態 | リスクの提示 | プレイヤーへの報酬 | 巻き戻し先 |
|---|---|---|---|---|
| E03 | 信頼が低い、証拠なし | 2か所での関係性のフィードバック | 新しい情報 | N12 |
リスクの提示も報酬もないのに、長い区間のやり直しを求めるバッドエンドは、通常、削除するか書き直すべきだ。
エンディングの数も、内容の深さとは限らない。同じ種類の誤入力から生じる20通りの死よりも、異なる人物やルールを理解できる3通りの失敗のほうがよい。エンディングツリーを設計するときは、まず因果関係、報酬、巻き戻し先を記入し、それから制作する価値があるかを決める。
失敗は因果関係をより明確にしなければならない
失敗したプレイヤーが最初に問うのは、「なぜここに至ったのか?」だ。エンディングは、人物のためらい、資源不足、ルートの危険性など、それ以前に観察できた兆候を少なくとも1つ回収すべきだ。計算式の全体は隠してもよいが、根拠をすべて隠してはならない。エンディング直前に突然現れた新しいルールだけで失敗が決まるなら、プレイヤーが学ぶのは世界の法則ではなく、作者がいつでも答えを変えられるということだ。
因果関係の回収は3つの層に分けられる。直近の層では、たった今の行動が何を引き起こしたかを説明する。中期の層では、それまでのどの関係や資源が状況を悪化させたかを示す。テーマの層では、人物の選択がどのような価値観を露わにしたかを描く。すべてのエンディングで3層全部を説明する必要はないが、重要なエンディングでは、少なくとも次の周回の判断に使える手がかりを1つ見つけられるようにすべきだ。
3種類の報酬をすべて与える必要はない
情報の報酬は秘密、視点、ルールを明かす。感情の報酬は別れ、和解、裏切りを完結させる。操作面の報酬は重要なノードへの復帰を速める。エンディングは、このうち1種類でもしっかり実現すれば価値がある。逆に、大量の設定を詰め込んでもプレイヤーの選択に応えなければ、本当の報酬とはいえない。
バッドエンドは次の周回の読み方も変えられる。ストーリーマップで新たに開いたノードを示し、既読の早送りでも重要な違いの通知を残し、人物プロフィールに今確認した情報を追加する。製品が周回をまたいだ記憶を認める場合は、「プレイヤーが知っていること」と「人物が知っていること」を明確に区別し、主人公が理由もなく前の周回の情報を使うことを避けなければならない。
巻き戻しの設計は責任の範囲に合わせる
QTEで1回入力を間違えたなら、数秒前からの再挑戦が適している。調査対象を1人見誤ったなら、そのシーンに戻せばよい。長期にわたって関係を軽視した結果の決裂なら、直近の明確な警告まで戻してもよい。戻す距離が短すぎると原因を変えられず、長すぎると罰が繰り返しの視聴になる。セーブポイントの画面では、どの収集アイテム、関係の状態、既読内容が保持されるかを説明するのが望ましい。
失敗のレシートで公平性を確認する
テスト版では、エンディング後に内部用の「失敗のレシート」を表示できる。発生条件、プレイヤーが見たリスクの兆候、重要な状態変化、獲得した新しい内容、推奨する巻き戻し先を記載する。正式版のプレイヤーに見せる必要はないが、脚本担当とQAが設計の整合性を判断する助けになる。テスターが概ね原因を説明でき、それでも別の道を試したいと思うなら、その失敗は通常、有効だ。皆が「システムにはめられた」としか言わないなら、兆候を書き直すか巻き戻す距離を短くすべきだ。
最後に、エンディング到達率、即時離脱率、巻き戻し率、2回目の選択の変化も集計する必要がある。データは調べるべき箇所を示すだけで、感情が成立しているかを単独で証明することはできない。そのため、インタビューも併用し、プレイヤーが何を理解し、何を失い、次に何を変えようとしているかを尋ねる。
公開前に価値のない失敗を削除する
すべてのバッドエンドを1つの表にまとめ、発生条件、事前の警告、情報の報酬、感情の報酬、再挑戦のコストを横並びで比較する。2つのエンディングが死亡シーンだけ異なり、プレイヤーに同じことを教えるなら、表現力の高いほうだけを残せばよい。節約した制作予算は、より明確な因果のフィードバックや、より円滑な巻き戻しに使うべきだ。
設計書を読まずに失敗の原因を説明し、次の周回で何を変えるかを示すようテスターに依頼する。原因を正確に説明でき、それでも悲しさを感じるなら、通常は悲劇が有効に機能している。条件をまったく理解できないなら読み取りやすさの問題であり、理解していても再挑戦したくないなら、反復の長さや報酬の強さを確認する必要がある場合が多い。
完成映像の検収では、バッドエンドにもメインルートと一貫した字幕、音量、スキップ、アクセシビリティ対応があることを確認しなければならない。失敗ルートは優先度の低い周辺コンテンツではない。物語の報酬を担う以上、同等の制作・テスト基準を満たすべきだ。


