情報には期限がある:インタラクティブストーリーの情報に有効期限を設ける
信頼できる観測所の予報でも、届いたときには期限切れかもしれません。「情報の有効期間・再確認の手がかり・期限後に取れる行動」の3列表で、古い情報が何の根拠になり、次に何ができるのかをプレイヤーに示します。

まず二つの問いを分ける:誰の情報か、今も使えるのか
夜勤の観測員が古い潮汐予報を受け取ったとき、発信元を信頼できるかと、その内容が現在の時間帯にも当てはまるかは、別々に判断する必要があります。書き手はこの二つの判断を本文に明示したうえで、情報に「有効期間・再確認の手がかり・期限後に取れる行動」の3列表を添えます。発信元が信頼できても、予報が永久に有効になるわけではありません。期限が切れたからといって、発信者が嘘をついたことにもなりません。
以下の『北堤夜報』は、書き方を説明するための架空の教材です。登場人物、時刻、予報、分岐のルールはすべて創作であり、実際のユーザー事例、実測結果、製品機能ではありません。現実の潮汐判断に用いるものでもありません。
観測員の林澄は23時10分に勤務を引き継ぎ、北堤観測所が20時に発行した紙の予報を受け取ります。「22時から23時まで、外湾は干潮の時間帯に入る」。物語ではすでに、引き継ぎ簿によってこの予報が同観測所から届いたものだと確認されています。林澄は今夜の観測記録に「予報では干潮」と書くか、「現在の潮の状態は要確認」と書くかを決めなければなりません。
ここでは発信元の問題は解決していますが、時間の問題は残っています。予報を発行したのは確かに観測所でも、対象時間帯はすでに終わっています。「信頼できる予報だから、今も干潮だとわかる」と書けば、発信元への信頼を現在への適用可能性にすり替えてしまいます。適切なのは「紙の予報が対象とする時間帯は終了しており、現在の潮の状態は要確認」です。古い予報は、前の勤務者が観測を予定した理由の説明には使えますが、それだけで今の状況を判断することはできません。
3列表で、すべての情報に次の行動を残す
表の上には情報の原文、発信元、発行時刻を書き、表自体は3列に保ちます。発行時刻は情報がいつ作られたかを、有効期間はどの時間帯についての判断を支えるかを示します。一方をもう一方の代わりにすることはできません。表内の期限は、この物語であらかじめ定めた物語上のルールです。
| 情報の有効期間 | 再確認の手がかり | 期限後に取れる行動 |
|---|---|---|
| 甲:古い紙の予報は22時から23時までに適用される。23時以降は、現在の潮の状態を判断する根拠にはならない | 当直席の受信簿を開き、23時以降を対象とする続報を探す | 前の勤務の記録の根拠として保存する。今の勤務の潮の状態は要確認と記し、追加の報告を求める |
| 乙:続報が23時から0時までを対象とするなら、その時間帯は予報として引用できる。訂正の対象となった元の判断は、期限前でも適用できなくなる | 受信簿と、報文と同じ番号の訂正欄を調べ、場所、対象時間帯、訂正内容を照合する | 通常の期限切れ:過去の予報として保存し、次の時間帯の続報を探す。訂正による失効:原版を保存して訂正との対応関係を記録し、訂正内容を照合したうえで、訂正後の情報を引用する |
| 丙:林澄が23時15分に東側の窓で記録した水面の位置は、その時刻、その場所だけを示す | 同じ観測位置に戻って水面の位置を再び観測し、新しい観測の場所と時刻も記録する | 元の記録は過去の観測として保存する。新しい観測は別に記録し、古いタイムスタンプを書き換えたり、そのまま外湾や後の時刻に当てはめたりしない |
この形式を使う際は、第1列に「適用対象、開始点と終了点、期限前に失効する条件」、第2列に「見つけられる確認対象、照合する項目」、第3列に「引き続き何の根拠になるか、次に何をするか」を入れます。通常の期限切れは、訂正が存在することを意味しません。訂正がある場合だけ、その対応関係を記録します。第3列が「使用不可」だけなら、物語は選択肢を奪っただけで、行動を用意していません。
すべてを一律に「受信後1時間有効」としないでください。遅れて届いた紙の予報でも、対象時間帯は延びません。その場で行ったばかりの観測も、新しいというだけで別の場所に適用できるわけではありません。期限は、その情報が何に答えるものかに合わせるべきで、プレイヤーが開いた時刻に合わせるものではありません。
表を、選択できる引き継ぎ場面にする
まず紙の予報の対象時間帯を見せ、次に23時10分を指す壁時計を見せ、最後に選択肢を出します。そうすれば、プレイヤーは行動する前に期限に気づくことができ、その後の結果についても根拠をたどれます。
場面の本文は、たとえばこう書けます。「署名は引き継ぎ簿と一致している。紙の予報を記録帳の脇に置くと、予報の終了時刻が壁時計より10分前だと気づいた。今の勤務の潮の状態欄は、まだ空白だ」。続けて「受信簿で続報を探す」「ひとまず要確認と記し、ほかの引き継ぎ項目を埋める」「古い予報を使って干潮と記入する」の三つの行動を示します。
この説明用の展開では、林澄は続報を探すことを選びます。受信簿には23時5分の登録がありますが、本文はまだ転記されていません。この時点でわかるのは、新しい情報があるかもしれないということだけです。登録時刻を本文の内容として扱うことはできず、まして現在の予報が更新されたと断言することもできません。
次の行動は「登録番号を指定して未記入の本文の転記を依頼する」、または「続報は未取得と記録し、先に計器番号の引き継ぎを終える」と書けます。転記の依頼を選んだ場合、書き手はその後で、現在の時間帯を対象とし、場所も一致する続報を提示します。林澄が訂正欄を確認して初めて、「続報によると、予報は……」と記入できます。これもあくまで予報です。地の文で目の前の観測に変えてはいけません。
残る二つの最初の選択肢にも、明確な行き先が必要です。要確認と記せば、後で戻れる未完了の項目を残しつつ、ほかの引き継ぎを進められます。古い予報を使えば、次の当直者が時間帯の不一致を指摘し、根拠の追記を求めます。ここで扱う結果は記録の質に関するものです。プレイヤーを罰するため、唐突に災害を起こす必要はありません。古い情報が選択に影響するのは、その情報から導ける結論の範囲が狭まったからです。
カウントダウンは必須ではなく、再確認も必ず成功するとは限らない
正確な時計のない物語なら、出来事を期限にできます。「交代の鐘が鳴ったら再確認する」「水門の状態が変わったら、以前の判断の適用をいったん止める」といった形です。ただし、出来事が起きたことをプレイヤーが見たり知ったりできなければなりません。書き手が裏で条件を変え、後から失効を告げるのでは、プレイヤーは知っている情報に基づいて判断できません。
二つの情報を同時に残すこともできます。古い予報は以前の手配の説明に、続報は現在の記録に使います。これは意思決定の経緯をたどる物語に向いています。筋書きが目の前の選択だけを扱うなら、登場人物の情報要約では続報を目立たせ、古い予報は資料庫に戻します。会話のたびに情報の全履歴を繰り返す必要はありません。
再確認に失敗する展開も書く価値があります。続報のページが欠けていたり、通信に応答がなかったりする場合、表の第3列には「ひとまず要確認と記す」「潮の状態に依存しない引き継ぎを進める」「番号付きの追加確認依頼を残す」といった行動を用意します。それぞれ、記録の完成が遅れる、一時的に会話の機会を逃す、問題を次の場面へ持ち越すなどの物語上の代償があります。代償は事前に示し、「要確認」が隠れた不正解にならないようにします。
直ちに選択しなければならない課題なら、根拠が足りないことを明示し、登場人物にどの仮定を採用したか説明させます。後で真相が明らかになったときは、「当時の情報が不足していた」と「プレイヤーが提示済みの情報を読み落とした」を区別してください。両者には異なるフィードバックが必要です。
期限が実際に書き方を変えているかを確かめる
草稿ができたら、一つの情報を追ってみます。期限前はどの一文を支えるのか。期限が切れるとき、プレイヤーには何が見えるのか。期限後も取れる行動はどれか。この三つの時点で地の文も選択肢もまったく同じなら、表は飾りになっている可能性があります。
さらに、混同しやすい三つの場合を確認します。有効期間が書かれていなければ「適用時間帯は不明」とし、有効とも期限切れとも決めつけません。反する観測が出たら、実際に観測した場所と時刻を明記し、発信元全体を即座に信用できないと断じないようにします。同じ文言の情報が新たに伝えられたら、元をたどって古い予報の写しではないか確かめます。伝えられた時刻が新しくても、元の情報は更新されません。再観測では新しい記録を作る必要があり、古い記録のタイムスタンプを書き換えて代用することもできません。
最後に、「観測所はいつも正確だから、そのとおりにしよう」を二文に直します。「発信元は確認済みだ。対象時間帯は終わっているから、まず続報を探そう」。これなら、登場人物の発信元への信頼を保ちつつ、現在の判断を時間条件に従わせられます。3列表の完成基準は、すべての情報に答えがあることではありません。今は答えられない問いの一つひとつに、読者が理解でき、登場人物が実行できる次の行動が残っていることです。


