テキストアドベンチャーのバックパックに同じ種類の物があるとき、特定の一つを選べる名前をどう付けるか
まず、同じ種類の物を個別に操作する必要があるかを判断します。そのうえで、プレイヤーがすでに見ていて、移動しても変わらない特徴を呼び名に使います。同種の物の識別表で初回の観察から拾う操作、戻す操作、改名までをつなぎ、「左の一本」がテーブルを離れた途端に何を指すのかわからなくなる事態を防ぎます。

はじめに
似た道具の中から特定の一つを確実に指定できるようにするには、すでに明らかになっている、その物自体の特徴に名前を結び付け、場所は別に記します。二本のろうそくなら「底の曲がったろうそく」「欠けのあるろうそく」と呼び、バックパックに入れた後もその名前を使えます。「左の一本」が通用するのは、そのときのテーブル上の配置に限られます。まず個体を区別する必要があるかを決め、同種の物を区別するための物品識別表を埋めてから、拾う、移動する、元の場所に戻すという流れに沿って確認しましょう。
まず判断する:特定の一つを選ぶのか、必要な数だけ取ればよいのか
「ろうそく、二本」とまとめてよいのは、どちらを選んでも現在の操作と、すでに計画しているその後の結果が変わらない場合だけです。一方を特定の人物に渡す必要がある、すでに火が付いている、あるいはプレイヤーに一方を取っておく理由があるなら、別々に表示する必要があります。判断の基準は、どちらを選ぶかに意味があるかどうかです。作者がそれぞれにどれだけ背景設定を書いたかではありません。
以下の「夜の荷造り」は、説明のための架空の例です。実際のユーザー事例、実測結果、実際に操作して確認した記録ではなく、DramaFork の製品機能を示すものでもありません。例に登場する呼び名と操作後のメッセージは、いずれも採用を想定した文章上の取り決めです。
テーブルには似たろうそくが二本あります。一本は底が曲がり、もう一本は側面に欠けがあります。プレイヤーは両方を持っていき、後で底の曲がった一本をテーブルに戻す予定です。この例では形状が燃え方に影響するとは設定せず、違いは個体を明確に選ぶためだけに使います。ほかに細いひもが三本あり、この例の後の操作ではどれを使っても構わないため、「細いひも、三本」とまとめます。
まとめれば一覧は短くなりますが、個々の物を継続して追跡することはできなくなります。後になって突然「さっき手に取ったひも」を探させるなら、その一本を前もって区別しておく必要があります。最初は区別のない数量として示しておきながら、手がかりもなく特定の一本を覚えていることを求めてはいけません。
識別する特徴と場所を分けて表に記入する
すでに提示した描写から、短く明確に表せる違いを選び、正式な呼び名と略称を決めます。特徴はできるだけ持続し、同種の物を区別できるものであるべきです。「きれいなろうそく」は評価に、「バックパックの中のろうそく」は場所に依存するため、この例で長く使う識別名には向きません。
次の表は、二つの特徴がどちらも確認できた後のものです。内容を差し替えて再利用できます。特徴がまだ見えていない段階の書き方は、次の節で扱います。
| 種類名 | 個体を識別する特徴 | 現在の呼び名 | 使用できる略称 | 改名の条件 |
|---|---|---|---|---|
| ろうそく | 底が曲がっている。観察済み | 底の曲がったろうそく | 底の曲がった一本 | 特徴が失われるか、新しい物と名前が重複したら見直す。移動では改名しない |
| ろうそく | 側面に欠けがある。観察済み | 欠けのあるろうそく | 欠けのある一本 | 特徴が失われるか、新しい物と名前が重複したら見直す。移動では改名しない |
| 細いひも | この例では個体の区別は不要 | 細いひも、三本 | 細いひも | 個別の操作を必要とする違いが生じた一本を、別項目にする |
場所は一覧の別の情報として、「底の曲がったろうそく:バックパック」「欠けのあるろうそく:テーブル」のように添えます。こうすれば移動時に変えるのは場所だけで済み、同じ物が新しい物のように見えることもありません。作者が内部用の識別子で対応関係を管理しても構いませんが、プレイヤーは表示された文章だけで対象を特定できる必要があります。
略称にも違いを残さなければなりません。「ろうそく」は種類名なので、二本とも選べるときに、当然のように一方を指すことはできません。この例では「底の曲がった一本」を略称として取り決められます。ボタンには、なるべく「底の曲がったろうそくを拾う」と正式な名前を使います。ここで定めているのは文章と、その文章が何を指すかです。入力システムがこれらの表現を自動認識すると主張しているわけではありません。
特徴がまだ見えない間は、その場だけの呼び名を使う
冒頭では二本の上半分しか見えず、曲がった底も側面の欠けも隠れているとします。その場合、一覧で先にこの二つの特徴を明かしてはいけません。名前からキャラクターがまだ得ていない情報がプレイヤーに伝わり、観察する行為も意味を失ってしまいます。
この段階の場面描写は、「テーブルの左側と右側に、ろうそくが一本ずつ置かれている」と書けます。操作項目は「テーブルの左側のろうそくを調べる」「テーブルの右側のろうそくを調べる」とします。これらは適用範囲が明確な仮の呼び名です。最初の観察へ導くためだけに使い、場面をまたぐ正式な名前にはしません。
この例では、拾う際に必要な観察を補います。左側の一本を持ち上げたときは、「ろうそくを持ち上げると、曲がった底が見えた。底の曲がったろうそくをバックパックに入れた」と書きます。もう一本も同様に、欠けを明かしてから「欠けのあるろうそく」と呼びます。描写、命名、操作後のメッセージをここでつなげれば、読者は新しい名前の由来を推測せずに済みます。
物語の都合で特徴を隠しておく必要があるなら、拾う動作を口実に無理に明かしてはいけません。物語上許されるときにキャラクターが異なる目印を結び付けたり、個体の指定が必要な操作を後に回したりする方法があります。単に「A、B」と付けるにも代償があります。最初の対応関係が曖昧なら、記号は位置の混乱を記憶の負担に置き換えるだけです。
拾う、移動する、戻すという流れで呼び名を確認する
第一段階では、テーブルがまだ元の配置のままのときに、プレイヤーが「テーブルの左側のろうそくを拾う」を選びます。先ほどのメッセージで曲がった底を明かし、バックパックの一覧に「底の曲がったろうそく」を追加します。続いてもう一本を拾ったら、バックパックの一覧には「底の曲がったろうそく、欠けのあるろうそく」と表示します。同じ名前の「ろうそく」を二つ並べてはいけません。
第二段階では、プレイヤーが欠けのあるろうそくをバックパックから取り出して手に持ちます。「欠けのあるろうそくを手に持った」と伝え、一覧にはそれぞれの場所を表示します。呼び名は変えず、「手に持ったろうそく」を長期的な略称として追加することもしません。手に持っている状態は変わっても、側面の欠けは元の個体を指し続けます。
第三段階では、プレイヤーが「底の曲がったろうそくをテーブルに戻す」を選びます。今度はテーブルの右側に置かれたとしても、「底の曲がったろうそくをテーブルの右側に置いた」と伝えます。場面には正式な名前を表示し、バックパックの一覧から対応する項目を削除します。手に残っているのは欠けのあるろうそくです。戻したからといって、以前の左右の呼び分けが復活するわけではありません。
古い呼び名をいつ使わなくするかも、取り決めに含めます。最初の配置が変わった後は、「左の一本」を元の物の別名として扱いません。その後に新しい左右の配置ができたなら、現在の場面に基づいて解釈し、対応する正式名を表示します。最初の観察時の指し示し方を、黙って引き継いではいけません。必要なら「最初にテーブルの左側にあった一本は、今は底の曲がったろうそくと呼んでいます」と案内し、その後は操作項目に古い呼び名を使わないようにします。
名前の重複と特徴の変化で、表の限界を確かめる
表ができたら、まず紙の上で手順を追います。二本の位置を入れ替えても、名前は元の物を指すか。バックパックに一本だけ残っても、その名前を維持するか。テーブルに戻した際に、誤って「左の一本」に戻していないか。これは実施を想定した確認項目であり、検証済みの報告ではありません。
次に、同じく欠けのある三本目のろうそくを手に入れた場合を考えます。「欠けのある一本」では一つに特定できなくなるため、新たに見分けられる違いを示してから呼び名を更新しなければなりません。たとえば、明確に描写した欠けの位置を名前に含めます。新しい一本だけに修飾語を加え、古い略称は二本のどちらとも取れるままにしてはいけません。
曲がった部分が折れた場合も、黙って改名しないでください。変化した場面で「底の曲がったろうそくの、曲がった底が折れた。これからは底の折れたろうそくと呼ぶ」と明記し、一覧と操作項目も同時に更新します。古い呼び名を一時的な橋渡しとして使えるのは、対応する物がまだ一つに定まる間だけです。偶然底が曲がった別のろうそくに、その呼び名を引き渡すことはできません。
この表は、特定の物を継続して選ぶ必要があるテキストの場面に適しています。最後までどの物を使っても構わないなら、数量で示すほうが読む負担を抑えられます。観察も目印付けもできず、本当に見分ける方法がないなら、不確実さを残したまま、操作で求める条件を調整するべきです。納品前には、現在のどの呼び名からも、描写済みの一つの物にたどれること、いつ改名し、いつ古い呼び名を使わなくするのかを説明できることを確認しましょう。






