ギャルゲーのルート分岐後、ほかのキャラクターはどこへ行く?――進まなかったルートの人物にも、その人自身の生活を
ルート分岐後、すべてのキャラクターに結末まで用意する必要はありません。ただし、退場には経緯を、近況には情報源を、再登場には本人の目的を持たせましょう。「今回進まなかったルートのキャラクターの動向カード」で、本人が経験していることと主人公が実際に知りうる範囲を分けて整理します。

はじめに
あるキャラクターの個別ルートに入れば、ほかのキャラクターが主人公の日常から離れていくことはあります。ただ、その退場は本人の取り組みの延長にあるものにしましょう。まず、分岐前から進めていた本人の課題を設定し、それから退場、近況が届く経緯、再登場の理由を決めます。主人公が知るのは、本人が共有を望み、実際に届いた情報だけ。その範囲にとどめても、短い文章で「彼女の生活は続いている」と伝えられます。
この記事で扱うのは、今回進まなかったルートのキャラクター一人について、筋の通った退場とその後の近況を書くという具体的な課題です。以下に登場する成人の陶芸家・林岑(リン・ツェン)とすべての出来事は、解説のために作成したオリジナルの架空例です。実在のユーザー事例、実測結果、筆者自身による検証、DramaForkの製品機能を示すものではありません。
1. 分岐前からある本人の課題に、退場をつなげる
主人公が別のキャラクターとの恋愛ルートに進む一方、林岑は別の土地での滞在制作に向けて準備している、と設定します。彼女が解決したいのは、自作の蓋付きの陶器の壺が、見た目のバランスはよいのに、使うときに持ちにくいという問題です。この目標は、主人公との恋が実らなくても成立しますし、主人公が別の相手を選んだからといって消えるものでもありません。
そこで共通ルートに、ささやかな動作を先に置きます。林岑が主人公に試作品を持ってもらい、その感想を手帳に書き留める。机の脇には、持っていく予定の道具がすでに並んでいる。職歴を一から説明する必要はありません。出発につながる事実があれば十分です。
分岐後に荷造りする姿を書けば、読者は退場を以前からの予定と結びつけられます。主人公の交際が決まった途端に「遠くへ行って夢を追う」と言い出すと、そのタイミングから、失恋して街を離れるのだと受け取られるかもしれません。修正するなら、前の場面に行動の根拠を補いましょう。「あなたとは関係ない」と一言加えるだけでは、下準備の代わりにはなりません。
退場には、何を優先し、何を後回しにしたのかも残します。林岑は試作品を持っていき、作りかけの素地は工房に置いていく。二つの制作分を同時に進めることはできないと認めるのです。これで彼女には具体的な優先順位が生まれます。退場に都合のよい行き先があるだけの人物ではなくなります。
2. 動向カードで、実際の経験と届いた情報を分ける
まず、作者が把握しておくべき生活上の予定を書き、次に主人公が接することのできる証拠を書きます。両方を「彼女は別の土地で元気にやっている」の一言にまとめないこと。次のカードは、名前と取り組みを差し替えて使えます。
| 項目 | 林岑の記入例 |
|---|---|
| 本人の課題 | 蓋付きの陶器の壺を持ちやすくする。分岐前から取り組んでいる。 |
| 退場の理由 | 予定どおり別の土地での滞在制作に参加し、試作品に集中する。工房にある別の制作分の素地は後回しにする。 |
| 確認できる進展 | 本人から自発的に二つの試作品の写真が届く。太いほうの取っ手を残したが、蓋はまだ調整が必要だという。 |
| 再登場の理由 | 保管していた試作品を取りに街へ戻り、新旧の作品を比べる。主人公に会うかどうかは、お互いの都合次第。 |
| 不明な部分 | 滞在制作中の人間関係、共有していない失敗、最終的に納得できたかどうか、その後の恋愛上の選択。 |
カードの裏には、さらに二行を設けます。「作者の暫定設定:細い取っ手の案をやめ、試作を続ける」「主人公が知っていること:写真が届き、太い取っ手を選んだと本人が話した」。作者はこれを使って整合性を保てますが、だからといって、彼女が案を断念したときに何を経験したかまで主人公が自動的に知るわけではありません。
不明な部分には、作者自身がまだ決めていないことも含めてかまいません。その場合は「未定」と記し、次に彼女を書くとき、思いついたばかりの案を以前から確定していた事実と取り違えないようにします。生活の余地を残すことは、舞台裏でサブストーリーを丸ごと書き上げなければならないという意味ではありません。
3. カードを、退場・近況・再会の三つの場面にする
一つ目は退場です。早朝、林岑は包んだ壺をスーツケースに入れます。机の上の作りかけの素地に手を触れ、引っ込める。「こっちは帰ってから作るね。車が来たから、もう行くね」。主人公が扉を押さえ、彼女は自分でスーツケースを引いていく。場面はここで終えられます。新しいカップルへの祝福を付け足す必要はありません。
この文章の役割は、出発と、何を優先し何を後回しにしたかを示すことです。去り際に「二人とも、ようやくお互いを見つけたんだね」などと長々と語らせれば、場面の中心はまた現在の恋愛関係に戻ってしまいます。祝福を書いてはいけないわけではありませんが、それで本人が取り組んでいることを置き換えるわけにはいきません。
二つ目は近況が届く場面です。その後の何でもない夕方、彼女のほうから作品の写真が送られてきます。「左のはひとまず保留。右のほうが持ちやすいけど、蓋はまだ直さないと」。主人公が「前に、取っ手が手に当たって痛いって言ってたね」と返せば、そこで会話を切ってもかまいません。
写真によって、以前に試作品を持ってみた場面とのつながりが生まれます。台詞からは、一つの決定と一つの未解決の問題がわかります。主人公は彼女がまだ作品を調整していると知ることはできますが、それを根拠に新しい環境になじんだとは断言できません。まして「もう失恋を乗り越えた」と本人に代わって結論づけることはできません。今の章にこの近況を入れる場所がなければ、後に回してもよいのです。存在を証明するために、定期連絡をさせる必要はありません。
三つ目は再登場です。林岑は以前の試作品を取りに街へ戻り、工房で会おうと提案します。新旧の壺を並べ、前と同じように主人公に持ってみてほしいと頼む。主人公は急いでいるので、彼女は「じゃあ、先に自分の感想を記録しておくね。また都合のいいときにお願い」と言い、そのまま試作品の整理を続けます。
彼女は頼みごとができ、その頼みがかなわないことも受け入れられます。主人公が参加しなくても、今回街へ戻った理由は成り立ちます。紙幅が限られていれば、再登場は試作品を回収する動作だけでも十分です。カードを使うためだけに、本筋と関係のない長話を増やさないようにしましょう。
4. また恋愛の引き立て役になっていないか確認する
登場場面を確認するときは、まず現在のカップルの名前を隠してみます。それでも、林岑が取り組むべきことは残っていますか。次に、主人公の返答を消します。彼女には、その先の行動があるでしょうか。これはキャラクター同士を切り離すためではなく、彼女の行動が主人公の恋愛の進展に全面的に依存していないかを確かめるための問いです。
失敗の一つが、作品の近況を遠回しな恋愛の後押しに変えてしまうことです。写真の後に「彼女を大事にしてあげてね」と続ければ、壺は忠告を運ぶための包みになってしまいます。忠告は削って、その分を、彼女がある案を捨てた理由に使えます。
もう一つは、成功しか許さないことです。連絡のたびに新たな突破口が開けたと報告させると、人物が更新され続ける実績一覧のようになります。林岑の手元に、まだ修正が必要な蓋が一つ残っている。それだけで、制作が続いていることは伝わります。実在感を出すために、大きな挫折を追加する必要はありません。
近況の説明をすべて第三者に任せるのも、別の失敗です。友人が実際に聞いた言葉を伝えるのはかまいません。しかし、根拠もなく「本当はずっと君を待っているんだ」と言わせれば、不明なことを本人に代わって断定してしまいます。現在の行動に影響しない私生活は、説明せずにおいてもよいのです。
5. 未完のまま止めてもよいのはいつか
今回進まなかったルートのキャラクター全員に、完全な結末を用意する必要はありません。林岑については、なぜ離れたのか、何を改良しているのか、なぜ戻ったのかがわかれば、読者は生活の連続性を具体的に感じ取れます。壺が最終的に完成したかどうかは、彼女が次に話したいと思ったときの連絡まで待てます。
ただし、それ以前に主人公との間で交わした約束が未処理のまま残っているなら、制作に忙しいと書くだけでは解決しません。約束を果たしたのか、延期したのか、それとも明確に取りやめたのかを先に示してから、退場させましょう。そうしなければ、本人の取り組みが、すでにある対立を避ける口実になってしまいます。
このカードは、主に主人公が見聞きした範囲で情報を示しつつ、複数のキャラクターに割く分量を抑えたいルートに向いています。複数視点の物語なら、彼女だけの場面を直接描けますが、それでもプレイヤーが見たことと主人公が知っていることは分ける必要があります。原稿を渡す前に、一つずつ確認してください。退場には前段の根拠があるか。近況の情報源は明確か。再登場には本人の目的があるか。不明な部分は残されているか。欠けている項目があれば、該当する文章を直しましょう。






