誤字・伏線の矛盾・ルートの行き詰まり、インタラクティブストーリーの校閲ではどれを先に直す?
まず読者が先に読み進められなくなる問題を直し、次に読者が誤った判断をしてしまう問題を直し、その後に前後が食い違う細部を直し、最後に誤字や言い回しを直す。この順序はどの種類の問題が多いかで決めるのではなく、三つの点で決める。その問題が読書を遮断するか、それが後続の筋書きに対する読者の理解を汚染するか、それを直すのにどれだけ下流の内容を巻き込むか。以下では五枚の架空の欠陥票で順序付けと再確認を一通りたどる。例の中の作品、キャラクター、データは解説のために作ったもので、実測資料ではない。

ガイド
まず読者が先に読み進められなくなる問題を直し、次に読者が誤った判断をしてしまう問題を直し、その後に前後が食い違う細部を直し、最後に誤字や言い回しを直す。この順序はどの種類の問題が多いかで決めるのではなく、三つの点で決める。その問題が読書を遮断するか、それが後続の筋書きに対する読者の理解を汚染するか、それを直すのにどれだけ下流の内容を巻き込むか。以下では五枚の架空の欠陥票で順序付けと再確認を一通りたどる。例の中の作品、キャラクター、データは解説のために作ったもので、実測資料ではない。
順序を判断する四つの次元
校閲リストを受け取ったら、まず各欠陥に四つの値を付ける。
- 遮断:直さないと、読者はこの段階で読み進められない、または選択できない。ルートの行き詰まりはこの類に入る。
- 判断の根拠:直さないと、読者は続けられるが、誤った情報に基づいて選択し、後になるほど大きく外れていく。伏線の矛盾はよくこの類に入る。
- 連続性:直さないと、読者は読み終えられるが、前後の不一致を覚えていて、信頼感が下がる。
- 表現:誤字、句読点、口語の不自然さ。読書の体感に影響するが、通常は理解を変えない。
さらに二つの修正量を補う:影響範囲(一箇所直すと分岐、キャラクター状態、後続シーンを巻き込むか)と迂回路があるか(読者が別の手がかりや選択肢で回避できるか)。迂回路がある問題は後回しにでき、迂回路がなく遮断するものは必ず最初に処理する。
五枚の欠陥票の順序付けの過程
ある架空のインタラクティブストーリー『霧港七日』で、編集者が五件の欠陥を受け取ったと仮定する。
| 番号 | 欠陥 | 種類 | 遮断 | 迂回路あり | 影響範囲 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 第三章で「船で港を離れる」を選んだ後に後続ノードが一切ない | ルートの行き詰まり | はい | いいえ | 中 |
| B | 第二章でNPCが鍵は鐘楼にあると言い、第四章のナレーションでは鍵はずっと彼の身上にあると言う | 伏線の矛盾 | いいえ | はい | 大 |
| C | 主人公の名前が第五章で「林晚」と書かれ、また「林婉」と書かれる | 連続性 | いいえ | はい | 小 |
| D | 複数箇所で「的・地・得」の混用 | 表現 | いいえ | はい | 小 |
| E | 第一章のある台詞「本当にそうするつもりか」が二回繰り返される | 表現 | いいえ | はい | 小 |
順序付けの結果:A、B、C、D、E。
Aを先に直す。遮断と迂回路なしの両方を同時に満たすからだ。読者がこのルートを選ぶとそこで止まり、後ろのすべての内容に到達できない。Bは二番目。遮断はしないが、鍵の位置が第四章でNPCが信頼できるかをどう判断するかを直接決めるため、判断の根拠を汚染する類に入る。Bの影響範囲はCより大きいが、Cは名前の不一致にすぎず、読者は同一人物だと分かるので、CはBの後になる。DとEはどちらも理解を変えないので最後に置く。時間が一件しか直せないなら、Dの中で重要な選択の直前に出る誤字を先に直す。それが判断点に最も近いからだ。
Aの修正:ルートの行き詰まりの処理
Aの直し方は、適当に文章を足すことではない。まずこのルートがもともとどの結末へ向かうはずだったかを確認する。設計文書に「船で港を離れる」は「海上結末」へ向かうと書かれているが、ノード表ではこの選択肢の後ろが空だと仮定する。
処理手順:
- ノード表で「船で港を離れる」という選択肢を見つけ、それが指すノードIDが空か、削除済みノードを指しているかを確認する。
- 目標ノードが存在するが内容が空なら、最小限のプレイ可能な内容を補う:一場面の描写、一つの収束動作、一つの結末マーク。
- 目標ノードが存在しないなら、まずこのルートを既存の結末に統合するか、新しい結末を追加するかを決める。統合はコストが低く、新規追加は本筋と衝突しないかを確認する必要がある。
- 直した後、第一章からこのルートまでを一通りたどり、結末に到達でき、本筋に跳ね返って重複を起こさないことを確認する。
ここで注意すべきは、内容を補うのはルートを長く書くことではなく、終わらせられるようにすることだ。結末に到達できる短いルートは、行き詰まった美しい分岐より使える。
Bの修正:伏線の矛盾の処理
Bの問題は鍵の位置が前後で一致しないことだ。すぐに台詞を直そうとせず、まずどちらの版が「本当」かを確定する。
作者が鍵はずっとNPCの身上にあると確認し、鐘楼の那句は初期草稿の残りだと仮定する。すると修正動作は:
- 第二章の台詞を直し、「鍵は鐘楼にある」を具体的な位置を指さない暗示に変える。たとえば「鐘守に聞くべきだ」。
- 第四章のナレーションに説明を一句補う必要があるか確認し、読者が第二章でなぜそう言ったのかを理解できるようにする。
- 全編で「鐘楼」「鍵」が同時に出る段落を検索し、旧設定に依存する第三の箇所がないことを確認する。
逆に鐘楼が本当なら、直すのは第四章のナレーションと「鍵が身上にある」に依存するすべての後続判断になる。これが影響範囲だ。どちらを直すかは、どちらの下流内容が少ないかで決まる。編集者は作者に、両側がそれぞれいくつの後続シーンから参照されているかを先に列挙させ、どちらを直すかを決めてもらうことができる。
C、D、Eの修正:連続性と表現
Cの名前の不一致は、まず正式な表記を一つ決め、全文置換する。置換後は会話内の呼称も同期が必要か確認する。たとえば他人が「晚晚」と呼ぶか「婉婉」と呼ぶか。この類の問題は影響が小さいが漏れやすい。検索機能で一箇所ずつ確認し、最初の一箇所だけ直して終わらせないことを勧める。
DとEは表現層に属する。誤字や重複台詞は筋書きの行方を変えないので、本筋の問題を直した後に一括処理できる。使える順序は:まず選択肢ボタンに出る誤字を直し、次に本文中のものを直し、最後にナレーション中のものを直す。選択肢ボタンの字は読者が必ず見るが、ナレーション中のものは飛ばされる可能性があるからだ。
修正後の再確認の方法
直したからといって終わりではない。この順序で再確認する:
- 遮断ルートを再走:直近のセーブポイントまたは章の冒頭から、実際にAのルートを選び、結末に到達できることを確認する。
- 影響を受けた分岐を再走:Bを直した後、鍵情報に依存する判断点を一通りたどり、読者が得る情報が一致していることを確認する。
- 全文でキーワード検索:Cを直した後は旧表記を検索し、Dを直した後はよくある誤字の組み合わせを検索する。
- 変更段落の前後各一段を読む:新しい内容が隣接段落と衝突していないことを確認する。
- 変更リストを記録:どのノード、どの台詞を、何に基づいて直したかを書き、次回の校閲で照合できるようにする。
再確認のときは直した箇所だけを見ない。変更によってもともと問題なかった箇所が不自然になることがあるので、前後各一段を読むことは必要だ。
例外状況
上記の順序は絶対の規則ではない。三つの状況では調整できる:
- 誤字が重要な手がかりに出る場合、たとえば「左」を「右」と書くなら、それはもはや表現問題ではなく判断の根拠問題であり、前倒しで直す。
- 伏線の矛盾の影響範囲が極めて小さく、取るに足らないナレーション一句だけで、後続の参照もないなら、連続性の後に置ける。
- ルートの行き詰まりが隠しサブリートでだけ発生し、本筋が完全で、作者がこのサブリートは当面開放しないと明言しているなら、既知の問題としてマークし、まず本筋の問題を直せる。
編集者にできるのは、各問題の遮断性、影響範囲、迂回状況を並べ、作者にどれを先に直すかを決めてもらうことだ。順序付けは提案であり、作者の取捨選択を代行するものではない。
完了チェック
一巡直した後、このチェックリストで確認する:
- すべての遮断ルートが一つの結末に到達できる。
- 判断に影響するすべての手がかりが前後の章で一致している。
- キャラクター名、地名、重要物品名が全文で統一されている。
- 変更したノードの前後各一段が通読できる。
- 変更リストが記録され、根拠と影響範囲を含んでいる。
この五項目がすべて通れば、この一巡の校閲は締めくくれる。次の一巡で残りの表現問題とスタイル統一を処理する。


