分岐動画はどの状態から始まり、どの状態で終わるのか?ショットに入口・出口の約束を書く
分岐動画の厄介さは、見栄えよく撮ることではなく、つながることにある。上流の断片が終わるとき、キャラクターは玄関に立っていて招待状もまだ手に持っているのに、下流の断片が始まるとリビングに座っていて、テーブルの上には開封済みの封筒が置かれている——視聴者はすぐに断絶を感じる。解決策は、各ショットに入口・出口の約束を書くことだ。入口にはこの断片が始まるときキャラクターがどこにいて、手に何を持ち、何を知っているかを書き、出口にはこの断片が終わるときにこの3項目がどう変わるか、そして最後の動作は何かを書く。約束は絵コンテやノードのそばに書き、前後の断片で共有し、コードには書かない。

はじめに
分岐動画の厄介さは、見栄えよく撮ることではなく、つながることにある。上流の断片が終わるとき、キャラクターは玄関に立っていて招待状もまだ手に持っているのに、下流の断片が始まるとリビングに座っていて、テーブルの上には開封済みの封筒が置かれている——視聴者はすぐに断絶を感じる。解決策は、各ショットに入口・出口の約束を書くことだ。入口にはこの断片が始まるときキャラクターがどこにいて、手に何を持ち、何を知っているかを書き、出口にはこの断片が終わるときにこの3項目がどう変わるか、そして最後の動作は何かを書く。約束は絵コンテやノードのそばに書き、前後の断片で共有し、コードには書かない。
入口の約束には何が含まれるか、その4項目
入口の約束は「視聴者がこの断片に入ったとき、世界はすでにどうなっているか」に答える。4項目のどれも欠かせない。
位置:キャラクターの身体がある具体的な場所と姿勢。「玄関の内側、正面は玄関ドア、立っている」と書き、「家にいる」とは書かない。
手に持っている物:キャラクターの身の上や手元にあり、物語で使われるもの、およびその状態。「右手に未開封の招待状を握り、左手は空」と書き、「手紙を持っている」とは書かない。
既知の情報:この断片が始まる前にキャラクターがすでに知っている事実。「招待状が旧友からのものだと知っているが、中に何が書かれているかは知らない」と書き、「状況を理解している」とは書かない。
前の断片の最後の動作:時点を合わせるために使う。「前の断片はノックの音が響いて終わる」と書き、この断片の最初の反応に根拠を持たせる。
これら4項目の共通の役割は起点を限定することだ。下流の断片を書くとき、制作者はキャラクターがなぜここにいるのかを改めて説明する必要はなく、入口をそのまま引き継げばよい。
出口の約束には何が含まれるか、その3項目
出口の約束は「この断片が終わった後、下流はどの状態から引き継げるか」に答える。
位置と姿勢の変化の結果:キャラクターがどこへ移り、どんな姿勢を保つか。「リビングのソファの前まで下がり、座る」と書き、「移動した」とは書かない。
手に持っている物の最終状態:その物が誰の手にあり、開けられたか、置かれたか。「招待状は開封済みで、ローテーブルの上に置かれ、便箋が引き出されている」と書き、「手紙を処理した」とは書かない。
最後の動作とそれが生むテキスト上の結果:最後の目に見える動作、およびその動作が関係や情報にもたらす変化。「手紙を読み終えて顔を上げ、玄関の方を見る。キャラクターは今、旧友が来週訪れることを知っている」と書き、「感情は複雑」とは書かない。
最後の動作は、下流の入口の最初の反応と噛み合わなければならない。出口が「顔を上げて玄関の方を見る」なら、下流の入口はキャラクターが玄関の方向で何かを見たり聞いたりできることを許すべきだ。出口が「手紙をポケットに押し込む」なら、下流の入口で手紙がテーブルの上にあってはならない。
構成例:招待状を手渡す
以下は約束の書き方を説明するための架空の教材例であり、実測資料ではない。
設定:キャラクター甲は玄関にいて、キャラクター乙が訪れ、甲は乙に招待状を渡そうとする。共通の過程は「乙がノックし、甲がドアを開け、手紙を乙に渡し、二人の旧友からの預かり物だと説明する」。その後、二つの分岐がある。乙がその場で開封して手紙を読むか、乙が受け取るが帰ってから見ると言うか。
共用入口(上流の断片の入口)
- 位置:甲は玄関の内側、正面は玄関ドア、立っている。乙はドアの外。
- 手に持っている物:甲の右手に未開封の招待状、封筒は完全、左手は空。
- 既知の情報:甲は招待状が旧友からのものだと知っているが、内容は知らない。乙は甲の手に手紙があることを知らない。
- 前の断片の最後の動作:なし(ここが分岐の起点)。ノックの音をオープニングとする。
出口A:その場で開封
- 位置:甲は半歩下がり、乙は敷居をまたいで玄関に入り、二人は向かい合って立っている。
- 手に持っている物:封筒は乙の手にあり、開封済みで、便箋が引き出されている。
- 既知の情報:甲も乙も手紙に書かれた訪問時間を知っている。
- 最後の動作:乙が手紙に書かれた訪問時間を読み上げ、甲は聞き終えてうなずく。便箋はまだ乙の手にある。
- テキスト上の結果:二人は「共同で知情」の状態に入る。下流で甲が訪問時間を隠していると書けば、出口と衝突する。
出口B:受け取るが帰ってから見ると言う
- 位置:甲はまだ玄関の内側にいて、乙はドアの外の階段まで下がり、二人は敷居を挟んで向かい合っている。
- 手に持っている物:封筒は乙の手にあり、未開封で、コートの内ポケットに入れられる。
- 既知の情報:甲は手紙を渡したことを知っている。乙は封筒が旧友からのものだとだけ知り、内容は知らない。
- 最後の動作:乙が振り返って階段を下り、甲がドアを閉める。
- テキスト上の結果:二人は「手紙は移ったが情報は共有されていない」状態にある。下流で甲に手紙の内容を直接話させれば、出口と衝突する。
二つの出口の核心的な違いは「手紙が開封されたか」と「二人が共同で知情しているか」であり、位置と最後の動作もそれぞれ記録される。甲が差出人の身元を知っているからといって、それによって訪問時間をすでに知っていると書かれてはならない。乙が封筒を開けたからといって、甲が自動的に内容を読んだことにもならない。
約束に違反する3つの典型的な修正方法
位置の衝突。出口に「乙はドアの外」と書き、下流の入口に「乙はリビングに座っている」と書く。修正方法:下流の入口を「乙はドアの外に立ち、手がちょうどドアノブに触れた」に変えるか、出口に戻って位置を「乙はすでに家に入った」に変える。どちらか一方だけを変えられ、両方を残すことはできない。
物の状態の衝突。出口に「封筒は未開封」と書き、下流の入口に「乙の手には便箋がある」と書く。修正方法:下流にまず未開封の状態を引き継がせ、その後で開封と読書を補う。あるいはこの二つの動作を上流に移し、出口を書き直す。開封は物だけを変え、読むことで初めて読む人の知識が変わる。動作を下流に残すなら、上流の出口を既知の内容に逆改変するのではなく、下流の動作が起きた後の状態を更新すべきだ。
最後の動作の衝突。出口に「甲がドアを閉める」と書き、下流の入口に「甲はちょうど乙の手から手紙を受け取っている」と書く。修正方法:下流の入口の最初の動作を「甲が再びドアを開ける」に変えるか、出口の最後の動作を「甲が手を伸ばして手紙を受け取る」に変える。時間順序に注意:ドアを閉めた後に手紙を受け取るには、先にドアを開ける必要があり、そうでなければ動作はつながらない。
完成チェック
一組の分岐を書き終えたら、一つずつ照合する:
- 各下流の断片の入口4項目は、すべて上流の出口に対応するものを見つけられるか?
- 出口の「最後の動作」と下流の入口の「最初の反応」は、同じ位置、同じ物の状態で成立するか?
- 出口の「既知の情報」は下流のテキストで尊重されているか?下流でキャラクターが知るはずのない情報が出てきたら、読む・伝えるなどの知得過程を補うか、早すぎる漏洩の台詞を削除すべきだ。
- 二つの出口の間で、物や情報が誤って共有されていないか?例えば出口Bは未開封、出口Aは開封済みで、二つの下流が「手紙の内容を話し合う」台詞を共用することはできない。
- 約束は絵コンテやノードのそばの見える位置に書かれているか、それとも作者の頭の中だけに残っていないか?
この5項目がすべて通れば、断片はつながると言える。どれか一項目が合わないなら、台詞を変えるより先に約束を変える。約束は前後で共用するインターフェースだからだ。約束を変えた後は、影響を受ける古い素材がまだ成立するかを人力で照合する。上流の出口が変われば、下流の完成済み動画やプレビューは作り直しが必要になる場合があり、古いデータは保持するが直接再利用してはならない。


